I was stage gazer

星を追う

城山羊の会・相談者たち

「テラスにて」が面白かったからトロワグロを見てみたい、DVDが劇場の物販でしか買えないからちょうど予定合うしと思って見てきた。

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stargazer9.hatenadiary.com

 

はしもとあつしさんを見たかったのもあって。

見てよかった面白かった。人間観察力の細かさみたいな事を思ったんだけど人間関係のおかしみみたいな。人をどう捉えるどう描くかって作者(脚本家)の方の人間に対する距離とか捉え方が出るのかなと思っていてそういう意味で人間のおかしみを感じられる作品は好きだなと思う。

"離婚"・"結婚"にまつわる相談者たちがある夜1つの家に集まるみたいな話で帰りたいのになかなか帰れないみたいな状況になるのはテラスにてを思い出した。あとなんか妙にエロい女性が出てくるのも趣味なの?って感じがする…

両親の離婚、娘が結婚(するかもしれない)、父の不倫相手とその恋人が訪ねて来ててんやわんなの状況をどう回収するラストになるのかな〜と思ったら不倫相手の恋人が包丁を取り出す、それを取り押さえる娘の恋人と夫、夫と不倫相手がいちゃつく、娘、妻、娘の恋人がそれを目撃したまま終わる。暗転の中でリップ音が聞こえたまま終わるとは思わずになんだったんだあのお芝居は?ってなったけど強引なというか呆れて終わるような感じも面白かった。ここはわたしの家なんだけど(そういう問題ではない)

フィアンセとフィナンシェは似ている、フィナンシェはほとんどマドレーヌとか、アイスランドは地熱が〜とか本筋に全く関係なく挟まれる話がなんか妙に面白くて(しかもすごく微妙なポイントで分かるって感じのお話)なんかそういう細かい部分が面白かった。ぽんぽんとリズムのいい会話のやり取りもそうだし、なんかこうやり取りが面白い。

あんまり説明しても面白さが伝わらないもどかしさ。シュールじゃなくて結構普通に笑っちゃうんだけど不倫マニア→変態マニアとかそういう感じ。

あとはしもとさんめっちゃスタイルいいな〜と思ったそしてスーツ。

夫、不倫相手の恋人が揉めるシーンのドタバタを最前で見ていたので必要以上にびくっとしてしまった。だって目の前まで転がってくるんだもんびっくり…。

次も見に行きたいなー!

次は自己紹介読本再演らしいです。

イキウメ・散歩する侵略者

イキウメを初めて見た『太陽』から気がつけばイキウメの作品を見るのも3本目、前川さんの脚本というなら『プレイヤー』も合わせて4本目、こんなにコンスタントに東京の劇団の作品を見られる事がなかなかないのでイキウメにはいつも頭が下がる思い。あと常に次回公演のお知らせをしてくれるので嬉しい。次回公演も行きます。

散歩する侵略者、再演という事と映画の公開が近日あったけど私は今回見るのが初めてでイキウメの作品はイキウメで見るのが1番好きだと思ってしまうのでその他同脚本のものは一切見ない様になったけど過激派ではないです。

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とりあえずの感想としては

舞台が斜めでフラットちょっと見づらいところもある、おーくぼひとえさんの10代感がいつみてもやばい、桜井と天野、宇宙人役の3人の表情の作り方がそれぞれなんだけどでもやっぱり何か”違和感”を感じるのがすごい、泣いた、SFなのにすでに自分の身の回りでもある事なのでは?と感じさせられるそこはかとない恐怖がやっぱり面白い

人間という存在を突き放して冷静に見ているのかな?と思うけれどやっぱり面白いと愛おしいと思っているんじゃないかという気持ちにさせられる。あと前川さんの人体とか人間についての興味がすごいんだろうなと勝手に思ってる。

散歩する侵略者、のタイトルの意味が作品を見に行く中ですごく腑に落ちる。自らの事を”宇宙人”と認める侵略者は人間の精神と記憶を乗っ取ってその人自体になる、記憶は持っているけれど人格が違う、あと宇宙人だから言葉の意味は分かって”概念”が理解できないから出会う人々から概念を奪っていく奪われた人はその概念を失ってしまう。

”概念”っていう言葉がぴんと来なくて概念を奪われた人たちを見て実際奪われるとどうなるかっていうのを見せられるんだけど普段の生活ってすごく脆いものなんだなと思った。目に見えないもので構成されているというかそれが今までの経験から学んだ事ととかそういう事なんだろうと思うけど侵略者はまるで赤ちゃんで人から概念を奪う事で成長していく、最初は”痛み”の概念すらわからなくて裸足で歩き回っていた侵略者のしんちゃん(加瀬真治)が後半になると随分人間の擬態が上手くなって表情も豊かになっていくのが面白かった。社会生活を営むために人は人生の中で色々な経験をしているから当たり前の事が当たり前にできるんだなとかそういう事なのかはよく分からないけど

”概念”を奪われる事と同時に社会派な切り口だなと勝手に思ってしまうのが隣国のミサイルの話、気づかないところから戦争は始まっている。再演での脚本の改訂部分ではなく初演から書かれていた事らしくええってなった…事実が創作に寄ってくる事ってままあるけれどやっぱり怖い。

イキウメの作品は上手く言葉にするのは難しいけど面白いから見て、って言えるのでぜひ見て欲しい 。イキウメの劇団員の方達はみんな不思議な雰囲気を持っているけれどその中で普通の人(?)感がより際立つ安井さんが好きです。巻き込まれジャーナリスト(天の敵に続き)

立花あきらの天野さんが太陽で結役だった清水葉月さんに見えてしまってああいう雰囲気の役者さん本当にイキウメに合う…と思ってしまった天の敵の小野ゆり子さんとか…

派手な演出がなく本当に脚本と役者さんの演技をじっくり楽しむのがイキウメの楽しみ方なのかと思っているし脚本自体がよくていろんなところで使われていたりするけどやっぱり私はイキウメで見るのが1番好きだなと思う。淡々としていてそれでもちょっと愛を感じる。

騒いでいたら(いつも)散歩する侵略者は見に行ってくれてる方が多くて嬉しいイキウメはいいぞ!

雪組・ひかりふる路〜革命家マクシミリアン・ロべスピエール〜

kageki.hankyu.co.jp

1789・スカピンとロベスピエールが出てくる演目をいくつか見ていてとうとうロベピエ主演作か〜!面白そうだし行ってみるか〜!雪組も初めて見るし月組から組み替えされた朝美絢さん好きだしという単純な理由で見に行ったらすごく好きなタイプのお話だったので1789・スカピンを見てロベピ気になるなと思った方には是非見て欲しい…革命を起こし恐怖政治を行なったロベスピエールの目指した理想とはみたいなお話です。ちなみにロベピはマクシムと呼ばれてるらしいですがロベピと呼んでいます。

ポスター撮り忘れたのでロビーのフランスカラーのお花の写真

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と言うことでネタバレ

とりあえずめちゃくちゃ泣いたのでちょっと顔がべしゃべしゃになるくらい泣いたので全く覚悟してなかったのでびっくりした…ロベピが革命の理想に燃える若者みたいな青春ものなのでは?と事前に予想を立てていたけれど青春というよりはロベピが理想を追い求めて孤独になっていくお話だった。孤独になったロベピは自らを振り返り粛清されるべきは私だと覚悟を決めてロベピ処刑エンド。

ロベピ処刑エンド…ロベピひかりふる路とは処刑台へと続く路だったのか……???と思うくらいには鬱エンドだな〜と思ったけどこういう話大好きなので…あとロベピは親友を失い、恋人を失ってしまったけど最後には恋人と和解できたので魂だけは救われたみたいな感じがとても好きだし、自分で死を選べたロベピは幸せだったと思うという自分で死を選べる主人公ハッピーエンド教です。

ひかりふる路は自由・平等を求めたロベピが見た理想の世界、という事かな。今では当たり前にある権利だけどそれを勝ち取るために戦った人は、というお話だと考えると…劇中にも権利〜とか平等の話が出てきてさすが人権宣言の国という気がするフランス万歳。

まず革命が成功して国王を処刑するシーンから始まる国王を処刑するなんて国際社会が許さないぞ〜のシーンから国王を裁判にかける処刑の流れからの、ラストシーンでロベピが裁判にかけられる、牢獄に入れられる、処刑の流れにしていて最初と最後が同じ様なシーンで終わるの最高だなってなりました。ロベピは恐怖政治というか独裁者的なイメージもあって、かつての革命仲間をどんどんギロチン台送りにしたとか反革命派を片っ端から処刑したとか。このお話ではロベピは恐怖政治を行いたかった訳ではなくて理想を追い求め続けて"政治"を行うよりも理想を実家させようとして独裁になってしまった、という感じ。結果論、あと周りが盛り立てているというかロベピの信奉者サンジュストがロベピをトップにしたくてしょうがないという気持ちを反革命派に利用されたりしていたけどサン=ジュストはそれで良かったんだろうな…革命を支持しているというよりロベピに心酔している。ロベピがトップに立って権力を握るべきだし、ロベピの理想を実現させる事が望みを叶える事だけが自分のすべき事だと思っている感じ。

このサン=ジュストのロベピに心酔しているという表情とロベピが権力を握るたびに、にやって嬉しそうに悪そうな顔で笑うの本当に好きで。うっかりサン=ジュストを追う人になってしまった。

ヒロインが主役を殺そうとするお話は中々珍しいのでは?と思うくらいマリー=アンヌはロベピの命を狙っているし、愛してしまったけれど恐怖政治を始めたロベピにまた大切な人たちを奪われてロベピを殺害しようとする。最初はロベピの掲げた理想に希望を見たけど恐怖政治を始めてしまったロベピには絶望した、でも愛しているというのが良かった…愛しているから結局殺せなかった。

二人が監獄で再び再会するけどお互いへの気持ちを確かめ合ったあとでこんな風に出会っていなければ、とifの話をするんだけどこんな風に出会わなければ出会えてなかったというのもまた良い…結局2人でいる幸せな世界を想像する事さえ許されない2人。悲恋だなという気もするしこんな風に主演とヒロインが全く幸せになれなくていいのか???お披露目公演ぞ…???と思ったけど個人的にすごく好みなお話だったので本当に良かったもう1回見たい…

処刑、はもちろんギロチンなんだけどそのギロチンで処刑されたという演出も面白かった〜最初からばっさり舞台の上に斜めの線が入っているのだけど。

デムラーン役の沙央くらまさんがこの公演を持って退団されるという事が寂しい…くらまさんのデムラーンはふわふわした優しい感じのダントンとロベピの間にふんわりいる感じがして好き…

孤児として育って、革命を共にする仲間が出来て、革命を起こした後にまた孤独になっていくロベピに感情移入して泣いてしまったけど本当に革命の理想のためにボロボロになっていくロベピが見ていられなかったしとても好きだった…ロベピは革命そのものだったけど革命を終わらせる事が出来なかった、自分の死を持って革命を終わらせた。革命はロベピの死を持って終わってしまったかもしれないけどロベピの理想の精神の部分みたいなところはなくならずに人々の心に残ったのかなと思うと本当にロベピが愛おしくて、ってなるくらい本当に良い作品だったのでぜひ見て欲しい…私もまた見たい…

宝塚に見目の麗しいイケメンと美女を見に行ってるみたいな気持ちでいるのでこんなに好みのお話をぶつけられると思わなくて本当にぶん殴られた様な気持ちで本当に良かった……………………

SUPER VOYAGERの話もちょこっとだけ。

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すごく愛を感じるレビューだなと思ってこっちもとても良かった。すごく愛を感じた……SUPER VOYAGERで客席降りがあるけど2階席まで上がってきてくれるので2階席でもぜひぽんぽん片手に!あとえぐざいる系の曲を歌い踊る朝美さんが2階席〜〜〜〜〜!!!!!って煽ってきたので死にそうでした。

表に出ろいっ!~One Green Bottle~ 追記

 

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 観劇時の記録であまりにもわからないを連発してしまったこの作品に付いての落としどころというかツイッターで投げたりして気づいたこととか、友達が見に行ってくれてそこから拾った感想などで気づき!と納得を得たので見た人にしか通じないなんなら自己解決のための記事です。

見に行った友達がこのお話はホラーだ、と言っていた事からホラーか?ホラーかもしれないと思ったけれどそのホラーというか恐怖が増したのは初演からの改変部分、冒頭での報道のテレビ映像でこの家族の行く末がすでに示唆されている事、ラストのシーンで意味ありげな幼児の歌うOne Green Bottleが聞こえてくる事だと思う。

さてこのOne Green Bottleが曲者でもともとイギリスの童謡を元にしている、元にしているだけでそのまま使っている訳ではないので元ネタはマザーグース

Ten Green Bottle

http://www2u.biglobe.ne.jp/~torisan/mglist-t1.html

この曲を知っているのと知らないのとではかなり理解が違う、気がする。このTen Green Bottleは数え歌で最後には全ての瓶が落ちる。最後には誰もいなくなる。

この曲も含めた改変部分についてわかりやすくしたんじゃないか?という指摘があって初めてあくまで英語ver.なのでかなり向こうの英語圏の文化に寄せて”わかりやすく”しているという事に合点がいき…(当日パンフレットに海外のキャストと演じる際には日本人のキャストには言わなくても”分かる”事をきちんと言葉にして説明しなければいけないという夢の話が書いてあった)

私が初演を見ている事、さらに”日本人”の視点を持っているからこの改変の意味について色々考えを思いめぐらせていたけれど問題はすごくシンプルだった。

英語ver.で演じるキャストも外国人、観るお客さんも外国人を前提として作られているものを日本で観るのも面白いし、まあどうせならこの文化を共有できるところで見たかったという気もする。逆に外国の方が見るとどう見るのかが知りたい。

父がハゲヅラのビジュアルになったのも、娘が原宿系(まるできゃりーぱみゅぱみゅ)になったのも全て外国からみたステレオタイプの日本、と思うと面白いなというところもあるし、父が能楽師ではなく脳のシテ方(主役・能面を被る方)になったのも”わかりやすさ”の部分だと思うと至極合点がいく…答えはすごくシンプルで単純なところにありました。

あと娘がはまっているものがファーストフードから、カルト宗教団体になっていて日本だとはまっているものファーストフードでもおかしくない(おかしいと思うけど)けど外国に持っていくにあたってカルト宗教になっている事でより事態が深刻になった気がする…

あらすじの説明も

 

初演

信じるとは何なのか?これは一夜にして崩壊する家族の物語。 
人間のレゾンデートル(=存在理由)を思索する哲学という学問が廃れてしまった。けれども、人間は何かしら生きる意味を見出さないと、生き難い。その空白を埋めるために、自らの趣味嗜好に過剰な価値を置く。「はまる」という現象。何かにはまってないと生きてる気がしない。 

換言すれば、偏愛。しかも、その歪みにも気付かない。疑うことすらない。これはすでに信仰に近い、ただの趣味嗜好なのに。アミューズメントパークを偏愛する父、アイドル系を偏愛する母、ファーストフードを偏愛する娘。そんな3つの偏愛が混在する、鎖でつなぎ合わないと成立しないほど、バラバラな家庭の物語である。 

 

Engrish ver.

これは、父、母、娘の三人家族の物語。その夜、三人はそれぞれ絶対に外出しなくてはならない理由があった。しかし、飼い犬が出産間近とあって、誰かが家に残り、面倒を見なくてはならない。嘘、裏切り、あの手この手を使って、それぞれが他の二人をあざむき、なんとか家を抜け出そうとする。やがてそれぞれの「信じるもの」が明らかにされ、互いの中傷、非難、不寛容が、事態を思わぬ方向へと導いていく。
果たして彼ら三人に、救いはもたらされるのか?

 

この”救い”の部分が日本人にはもっともわかりにくい感覚なのかな?と思っているけれどこれだけ見てもまさにこちらの文化圏ではないお話…舞台は日本であるけれど日本の文化で理解しようと思うと少し難しい。翻案にウィル・シャープさんというイギリス人の作家の方が関わっていたり、キャストがイギリス人である事で”日本人”を演じる上で理解できる事、できない事があってそのための改変なんだなと思った。

自分の中ですごくすっきりしたので自分用の解説でした。

友達はこのお話をホラーだと言ったけれど私は滑稽なお話だと思っていてでも皮肉っているわけでも決してないと思うけれどそれぞれが大事に、”信じて”いるものが他者からみるとひどくくだらないものに見えるは、きっとそうなんだろうなと思って”オタク”である姿を外から眺めるときっと可笑しくてしょうがないだろうなと思うという事、笑えないんだけど笑っちゃう。自分の身に振り返ってぞっとする。そんなお話だと思っている。オタクじゃない人が見るとどう思うのかな。初演の方がよりオタク感が強かった気がしたのはやっぱり日本人キャスト・日本向けに作られていたからかなと思う。

こうやって見た作品について延々と考えて答えを求め続けるのが好きで1回見ただけではこうだ、っていう答えが簡単に出ない作品が好きなんだけど今回は友人が見てくれたのとそこから色々話が派生して気づきを与えてくれる人がいたので本当に人の頭を借りると自分で気づけないところに行きつけるので良かった。

チケットは売り切れているけれど毎日当日券が出るので11月19日まで東京芸術劇場シアターイーストでやっているので気になった方は宜しくお願いします。

「表に出ろいっ!」English version”One Green Bottle” 東京芸術劇場

野田秀樹?誰?って思う方も多い(若い人には取っつきにくいと思われがちなのでは)思うけど一度見て見るのも良いと思いますので…作演出出演者で、東京芸術劇場の芸術監督です。この人の作品を6000円で見られるのは本当に安いと思うので……(せめてもの宣伝)

パンフは売ってなくて当日パンフが豪華なので宣伝しておく

表紙

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断面

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広げるとこんな感じA2……???

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折りたたんであるので手のひらサイズなのに広げるとでかい

 

リチャード三世

www.richard3-stage.com

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秋の観劇強化週間最後の作品はこれ!『リチャード三世』

東京公演でのあまりの評判の高さ、というか見た役者さんたちが絶対見た方が良いっていうからそれにつられてうっかり当日券をと思ったら立ち見しかなくて寝不足には辛いと思っていたら開演10分前くらいに席出せますと言われて座って見られたので良かった

演出はルーマニアの鬼才シルヴィウ・プルカレーテ

好きとかじゃなくてなんていうかすごい物を見た、というか他ではこういう物は見られないかもしれないみたいな物珍しさみたいな事を感じた。だから好きとか嫌いとかそういうことじゃなくて見られて良かったなみたいな話。だからお芝居の楽しみ方としてはちょっと邪道というか何が正当なのかよく分からないけど。

リチャード三世自体も読んだことも見たこともないんだけど非道な王の話として有名なんですね…リチャード三世が最初は普通に立っているのに障害者のふりをしたり道化のふりをしたするのが不思議だったんだけどむしろそっちがよく知られているリチャード三世だと知ってへえってなった。他人を欺いている人としては今回の方がわかりやすい。

リチャード三世が誰かを処刑しようとする時ビニール袋に包んでぐるぐる巻きにしてストレッチャーに載せていくんだけどこれを見てホラー映画かな???と思ったしさらにチェーンソーも出てきてホラー映画かな???と思った音楽もホラー映画っぽかったし。

最初の狂乱の宴〜みたいなシーンから始まるところで管楽器を演奏されている方達も舞台上に出演者としていらっしゃるのがすごく格好良かった。

セットは石壁の模様を描いた布で囲まれているだけなんだけどたまに出てくる錆びついた鉄の扉がやっぱりホラー映画を思わせるそれでSAWとかそういう(見たことない)

シェイクスピアなのに随分現代的な演出だなと思ったと思った、顔を白塗りにしているのは逆にそれとはちぐはくで古典ぽさがあるんだけど

小姓の子がセリフはないけどずっと舞台上にいるのは気になる最後ちょっとだけしゃべるけどあの子たまにモップじゃないもので床拭いててこれなんか意味あるんだろうな〜と思ったけど(よくわからない)

2幕後半の王座を手に入れてからのシーンがほぼ佐々木蔵之介さんの一人芝居ですごいなあと思った。誰も信じられないし、いつ誰かに玉座を奪われるんじゃないかとびくびくしている。色んな所から玉座を狙われる。これまで手にかけてきた人たちの亡霊に悩まされるとか。この時の🎶この世に思いを絶って死ね〜がキャッチーすぎたんだけどこれ他の翻訳だと”絶望して死ね”とかあるらしく気になるな〜

あと玉座を手に入れて座る時に玉座の椅子にビニールがかけられててそのビニールがついたままビニールの中に入ってから王座に座るんだけど、これが今まで殺してきた人たちをビニール袋の中に入れて殺すみたいなのとデジャビュで、どういう意味なのかな〜って。玉座に囚われてるみたいな自らの自殺行為みたいな、こうやって人を殺して手に入れた玉座だとか。

もうとにかくサクサク人が死ぬしあれ今誰が死んだ!?どういう関係の人!?どの親戚関係!?みたいな事が追いつかなくてリチャード三世予習必須だったかなってまずはスタンダードを押さえておくべきだったと思うこの作品については。

女性役をやってる方達がとても良かった。みんな白塗りで、見た目の女性らしさといえば服装だけなんだけど本当に”女性”で。美しかったし母親だった。

あと一番好きだったのはマーガレットかな魔女。不気味で怖かった。亡霊のように出てきて意味ありげな事を言うみたいな役割…?

日本で見る、海外戯曲の、日本人の役者が演じて、演出を外国の方がつけているってもうなんとも混じる感じがすごく不思議で日本人の書いた戯曲を日本人が演じて日本人が演出をつけるのがわかりやすさとしては一番だとおもうけどわかりにくい事とか、伝わりにくい事とかそういうものを日本人の役者さんの身体を使って演じられている事はすごく面白いなと思う。最近表に出ろいっ!を見たからそれと比較してこうかと思う部分もあるし。やっぱりお芝居って不思議だなと思うし面白いなと思う。ただちょっと詰め込みすぎて疲れた。

2時間前

表に出ろいっ!〜One green bottle〜

秋の観劇強化週間3本目!今回の観劇強化週間の本命と言っても過言ではない表に出ろいっ!の再演&English ver. この作品を生で観劇出来るなんて夢が叶ったような気持ち。足跡姫で告知見た時から絶対行くからなー!って思っていたので本当に見られて嬉しかった

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ちなみにこれはセットの模型。客席で二面から囲む舞台。

onegreenbottle.jp

芸劇の先行でバッチリ最前を確保したんだけど下手よりでセットを斜めから見る感じだったんだけど最前の通路を走り回る母が見られて良かった…あの距離で見てしまった母……お着物が本当可愛いのとあんなにブンブン走り回っても着崩れしないの本当すごいあと娘が母を後ろから抱きしめる(死のうとする母を止める)が目の前で見られてよかった!娘ちゃん可愛いけどでかい。

初演と設定が変わってるとこがちょこちょこあったから初演のDVD見返したくなった。

全体的にドタバタ喜劇、なんだけど一皮剥くと家族の形を為していない家族の話、あんな状況になるまでちゃんとお互いの事をお互いで分かっていなかったとか、恐ろしい状況を作り上げて初めてお互いを理解しようとする家族とか考えると凄い表面的なところでしか理解してないんじゃないかと思ってしまうんだけど深層的な理解とは何かというとそれはまた難しくそこまで考える必要があるのか、とか真意はそこにないそもそも真意とは何か。見た人が感じたもの受け取った物がその作品そのものだという話もあるけれど、まず"理解"をしようとしてしまうので。そういうところが浅はかだなー!と思ってしまう…

野田秀樹の作品は言葉遊びが巧みで洒落が効いてる!と思う楽しさと社会的なテーマを含んだ部分、現代社会を皮肉る様な社会を斜めに見る様な作品が多いと思ってるんだけど(こういう事言うのもなんだか)そう言う風に見えるのはそう言う風に見たいからだと言う気がしてもっと単純な部分も本当はあるんだろうなとか考えてしまう。全然作品の感想ではないけどやたらと内省的になると言う事で。

父母娘はそれぞれに今夜出掛けなければいけない理由があり、家には妊娠を控えた飼い犬がいる。誰かが家に残って犬の面倒を見なければいけない、誰も家は残りたくなくてお互いに役目を押し付け合う。そのやりとりががどんどんエスカレートしてお互いの足を鎖でつなぎ、外と連絡が取れない状況で家族は取り残される、と言う話で父はワンダーランド(某夢の国を彷彿とさせるキャラクターのカチューシャ、シルエットが出てくる)母はボーイズ・ボーイズ・ボーイズ(鞄に少年たちの顔写真と裏にメッセージが書いてある団扇が入ってると某ジャ◯を想像させる黒い噂がある)娘は常にスマホを弄り、自撮りを撮るそのほかIT機器にも執着している様子を見せるが実は新興宗教にハマり世界の終末を信じている。(確か初演では宗教までの設定はなかった)

設定の変更あれこれはより時代に合わせた変化という気がしたし、英語ver.で上演するための変更かなとかどっちか分からないけれど。

父がお腹にいるのが娘だと分かって堕胎させようとした話も初演にはなかったはずでもあの両親は娘ちゃんを愛していたと思うけど…夫婦の愛の形もちゃんと見えるんだけどどうしてこうなったというか初演を見た時はオタク趣味って宗教の様なものだとか、宗教についての意識がそこまでない日本にあるのはオタクという信仰だなとか思ったけどそれとはまた違うようなもっとダイレクトに娘が新興宗教にハマっているという話があるからか余計にこうこの物語の核を為す"信じること"ってなんだろうって言うのが余計に分からなくなったような。

うまく言葉にするのが難しい感じがある。分かった風にするのが1番いけない気がする。

父が能楽師から能のシテ方になって能の所作が増えたんだけど外国人で女性であるキャサリン・ハンターさんに能のシテ方を演じさせる面白さってやっぱり演劇の面白さだしそもそも登場人物誰もがまず本来とは別の性別を演じているんだけど性別も年齢もさらには言語を越える演劇でしか成り立たない面白さがまずあるって事を楽しんで内容についてあれこれなやむのは範疇外の事なのかなとも思う。

すごくパワフルで観ている方も体力使うんだけどたくさん笑えるし笑った分ぞっとするし最後のOne Green Bottleの意味は何なのかまだ考えたいところはたくさんある。能からの台詞の引用とか切腹!とか仰々しい"日本らしさ"というか父の髪型がハゲヅラバーコードなのも日本人の中年の典型だし、母はサザエさんの髪型だし、娘は紫髮の子できゃりーぱみゅぱみゅ的なイメージなのかな?と思うし表象とか寓意的な意味があるのかなと思うけれど…そこまで考えるにはやっぱり足らないなと思う。

 やっぱり感想にするのはとにかく難しい…野田秀樹の作品について語る事が難しいのは失礼な事を言えないみたいな私の自意識に起因するので…もっとたくさん色んな事を知らなくちゃいけないというか自分の無知さを自覚するというか全く自分の話ばかりでつまらない…

誰か他の人の視点が欲しいから観に行って感想聞かせて欲しいと思うんだよね…私には語る事が難しい。

難しく考えすぎなのかなと思うし、あまりに象徴的なものが多すぎて気を取られているだけかなとか…英語上演でイヤフォンガイドから聞こえてくる日本語を聞くんだけどやっぱり役者が生で喋る言葉を堪能したさはあったから英語でわかると良いのに!ってなったしそこを補うようにちょこちょこと日本語でセリフ入れてくる母がやっぱり面白いし凄かった。

ミュージカルデパート!

本物のデパート内にある劇場でデパートを題材にした舞台を見る楽しみ!最高でした。

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www.show-biz.jp

デパートの裏側とデパートの表側両方を描いた作品で見終わった後にデパートはただ買い物に来るだけの場所じゃないんだよね、きっと毎日小さな素敵なエピソードがあるのだろうな〜ってデパートでお買い物したくなるようなそんな気持ちになった。

とにかく歌いまくりでほぼ歌ってるしみんな歌うまいし最高なんだけど特にインフォメーションガールマリの曲と発注ミスのビビの歌が面白かった女性陣が本当強い。発注ミスしても私は自分に自信を持つ〜みたいな曲を聞く事が今後なさそうで爆笑してしまった。

あらゆるところに有名ミュージカルパロディが織り込まれていて特に元ジェンヌの愛加さんが踊るデュエダンを思わせる振り(見たことあるやつきたー!と思った)とか二幕冒頭でのSeason Of Loveを思わせるあれとか(あれは絶対そうだと思う)演出の原田さんのミュージカル愛を感じてふふってなっちゃうのも面白かった!もっと元ネタが知りたいのいろいろある!Season Of Loveは気づいたときにめちゃくちゃにやにやしちゃった…二幕始まりで横一列に並んだ時にあれ?ってなったんだけどそれぞれのソロあるし違うのか〜と思ったら出雲さんのソロの感じとかとか手を差し出して客席にもハンドクラップ求めるのとか本当それでしかなくてもうっっっ!ってなった(大丈夫です好きです)

群像劇でそれぞれにエピソードがあってそれぞれに見せ場がある作り本当に大好きなんだけどデパートの経営者である父と息子、デパートに卸す包丁を作る職人の息子の話がこう対比じゃないけどシンクロしててとても良かったし、デパートに来るお客様のオズマン夫妻のエピソードには本当に泣かされてしまった…デパートの創立者の幽霊の話とか壊れかけのモリス〜はあれ本当なんなんだ…お話がちょっと忙しい感じはままあったかな…

フラグを全力でへし折るモリス面白かったしピートの恋をお手伝いするイギーがいいやつで可愛い…イギー可愛い…

デパートなんて金持ちしか興味ないだろの警備員のイギーがデパートって悪くないなってなるエピソードとかも良い…デパートが愛おしくなるお話だった。デパートは物をうるだけの場所じゃなくて思い出を作る場所でもあるというか。

セットがほとんどなくてエレベータードアを思わせる壁くらいなんだけどその壁があるだけでデパートっぽさがグンと増すのが面白かったしその壁を使った演出も面白かった!特に好きなのはイギーが踊る深夜のマネキンがいつの間にか生身の愛加さんになって踊ってまたマネキンに戻るところ!壁をうまく使ってやってたんだけどここがすごく好きだった…!!!!

上手端で壁の裏に隠れて移動するキャストさんが見られて面白かったけどセンターからも堪能したかった…!!

発表された時からこんなキャスト揃えられたら行くしかないなっていうキャストだったんだけど作品自体もすごく好きだったし本当に面白かった!オリジナルミュージカルってところもすごく好きだしまたオリジナルでもっと作品作ってもらいたい…原田さんは役者さんとしてもすごい好きなので出て欲しい気持ちもあるけれど演出家としても面白いなー!と思うのでこれからも演出されてる作品見たい。