I was stage gazer

星を追う

終わらせたくなかった物語の話

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アイワズライト、タイトルの通りに誰かが誰かの光だったお話で、絶望とほんの少しの小さな希望。光だった。誰かが誰かの光であり救いだったなって。皆が誰かに救われるし、皆が誰かを救ってあげたかった。後悔と贖罪であり、前に進むための物語。許せなかったのは自分自身、受け入れられなかった自分自身を受け入れる話。それでも前に進まなければいけないお話。暗転からゆっくりと明転していって光に包まれるマシロとハイバ、の出会いから物語が前にゆっくりと進み始める、光の方へ。後悔も罪も受け入れて何より自分自身を受け入れて愛して前に進んで行くとても強くて優しいお話。マシロが自分を取り戻す旅の様な、そしてそこからの旅立ちのお話だった。辛くても苦しくても罪を抱えていても自分を受け入れて旅立つマシロの幸せを願ってしまったし、でもあの物語がいつまでも終わらなければいいとも思ってしまった、矛盾する気持ち。

初めてあらすじを読んだ時の”光”のイメージは木漏れ日の光、初演の映像を見た時は一筋射す光、再演を見た時は溢れる光、やわからくて少し眩しい光。最初のイメージから、初演再演と光の度合いが増していくのが面白かった。それでも強い希望、の光。

目的
この物語の目的は?とカキツバタが聞く。物語には目的がないといけない、マシロはピーターパンが子供達と幸せに暮らすこと、
光が有るところに影が出来る、闇の中では影を探せない。この物語がマシロが自分の影(本当の自分)を取り戻す話だと仮定すると、影がない事に気付かせてくれたのは光があったから、でハイバと出会った事によってマシロは光を得るマシロが初めて自分の影を取り戻さないといけないと考えるようになるのでは、マシロがハイバをハイバにするのではなくてハイバが最初からマシロの光だった。いくつかシーンがリンクする場面で(ワスレナがマシロに真白と同じ言葉を掛ける)マシロが少しづつ灰葉である事を取り戻していくのかと思う、マシロ(灰葉)にとって真白が光だった様に真白に声を掛けられたあの瞬間世界に光が見えた様に、ハイバに声を掛けられたあの瞬間にも光を取り戻すんだけどマシロにとっての光だった、なのかと。

マシロとハイバ
マシロにとってのハイバが光でハイバにとってのマシロが光だったっていうのがどうしようもない関係で駄目だった。お互いにしか相手を救ってあげられないけどハイバだけではマシロを救ってあげられないのも。ハイバはマシロを2度と傷つけたくないって大切に思うからこそ大切にしすぎてしまう、同じところをぐるぐると回る、繰り返す、ハイバはこの物語を終わらせたくない。物語の終わりは2人の別れでもある。終わらせない事が良い事ではないけど少しでも長く一緒に居られれば良いって願うのは美しく、悲しい。マシロにとってのハイバで居られる時間。マシロにとってはハイバを縛ってしまっている時間、ハイバを付き合わせている、自分がマシロで居るために。ハイバが必要だから。ハイバに見つけてもらって声を聞いてもらえて嬉しかったマシロ。あの時、見つけてもらった時に初めて光を見るようなマシロ。光に溢れる瞬間。マシロがハイバを求めるのはマシロで居るために自分がマシロとして存在するために欠けているものがハイバで不完全なマシロとしてマシロになりたいけどハイバがいないからマシロになれなくて灰葉でもいられなくて死ぬ事もできずにぼんやりと自分を殺して生きているだけの日々。マシロの物語を聞いてくれる人がいない、マシロは1人ぼっち。ハイバが来てからマシロとハイバは2人ぼっちになるんだけど。2人だけの世界。ハイバをハイバにしたのは自分の声を聞いて欲しかったのがハイバだったからかなと思うんだけど、そこでハイバが否定しないでハイバである事を受け入れてしまったのが、ハイバがそれに救われてしまったから、というのが後から分かるんだけどここの部分が2人の関係性の1番核になる部分で本当に好き。真白の声を聞きたかったマシロ、真白の声を聞いてあげられなかった灰葉。真白に伝えたかった言葉、伝えられなかった言葉をハイバに伝える事で灰葉のマシロが昇華された様な。マシロじゃなくてもハイバで居てくれる、ハイバじゃなくても俺を見ろって言ってくれる、きちんと見てくれる。一緒に過ごした時間は嘘じゃなかった。
ハイバでいる事が彼にとっての救いで贖罪みたいな気持ちだったんだろうけど結局マシロにとっての”ハイバ”としてか存在できなくて本当の名前を誰も知らないのは悲しい。スミムラ先生だけが知っているしこれはマシロの物語なんだなって言うのを実感させられる。本当のハイバはどこにもいない、もしかしたらマシロは名前すら覚えてない。だから”ハイバ”はどこにもいない。マシロが作った世界にしかハイバは存在しない。マシロが存在するためのハイバだから、みんなマシロを通してハイバを見るしハイバだけではあの世界のどこにも存在できない、っていうのがとても悲しくてとても愛おしくてしょうがない。マシロはマシロを演じるためにハイバにハイバを演じる事を求めるんだけどハイバは灰葉だから最後には裏切る、灰葉だからこそ裏切る、んだけどハイバが灰葉じゃない、マシロが真白じゃなくて、ハイバは灰葉じゃなくてもマシロのそばに居てくれる、自分を信じてくれるっていうのが何よりのマシロにとっての救い。だからこそネバーランドのお話が完成させられた、前に進めた。マシロとハイバじゃなくても一緒に居られれば良かった、って思うんだけど誰かの代わりじゃなくてきちんと自分として2人が向き合えたのってほんの一瞬だったと思うのが、どうしようもないなって思うしあの刹那の時間だから良かったのかな。ワスレナに出会わないまま2人が物語をぐるぐる物語を繰り返していたら、ってどうなるんだろうと思ったけど多分いつかは壊れてしまう世界だった。マシロとハイバの世界はさながらネバーランド、時が止まった世界、同じ時を何度も繰り返す世界。ハイバに出会ってからお腹すいたって言えるようになって良かったなって、冒頭の食欲はありません、っていう言葉の悲しさから救われた気がする。

マシロと真白
ワスレナが最初にマシロにかける言葉は真白を思い出させるきっかけでなりたいものになれる話も真白を思い出させる言葉、みんながちょっとずつマシロにとっての真白だったのかなって、マシロはハイバに光を感じるんだけど、多分真白に出会った時も光を感じたはず、みんなに無視されている自分に声をかけてくれた、存在。自分を否定して否定し続けた10年から自分を少しずつ受け入れていくための時間、でもそのための物語、あの物語が優しいお話だと思うのは否定されないから、他者から肯定される事はなによりも優しい。自分が肯定できない自分も肯定してくれるのは何よりの救い。マシロと真白のここの関係は伝わらなかった言葉が大きいのかなって、マシロが真白になろうとしてマシロと真白が混ざり合いすぎてどこまでがマシロの話でどこからが真白の話なのか境界がうまくわからない…。ちゃんと見てほしいって願ってたのは誰の願い?マシロが真白をちゃんと見てほしいって周りの大人たちに対してずっと思ってたんじゃないかって。でも真白はマシロが思うよりもマシロに対しても隅村先生にも肯定的な感情しかなかったんじゃないかなって、色の名前を教えてくれた隅村先生、勉強についていける様に放課後まで教えてくれた、真白のネバーランドのお話のキャラクターたちが色の名前(スオウ、エンジ、ブラウニ、ススタケ、アサギ)なのも隅村先生が教えてくれた色の名前かな、これはどんな色かって全部教えてくれた。真白は罪を負わせるつもりはなかったんじゃないかなって誰にも。消極的な手段で死を選んだんじゃなかったのかもしれないけど負ってしまう方にはそんな事関係なくて、好きだったから大切にしたかったからもっと何か出来たはずだから罪になってしまう。負わせる方にも負ってしまう方にも救いがないなって。真白が飛び降りる前にもういいよね?灰葉?って聞いたのは呪いの言葉じゃなくて、責める言葉じゃなくて、同意を求める声だった様な気がして、例え同意できなかったとしても。でもあの声は灰葉には聞こえてなかったんじゃないかと、だからマシロのピーターパンはティンクの声が聞こえない、ティンクの言葉が伝わらない。マシロは真白になるためにすべてのものを否定したんじゃないかと。母親の愛情を受けられていなかったのは真白、ちゃんとしなさいって言われ続けてたのは真白、なりたいものになれないって思ったのも真白、中学を卒業したら閉じ込められるのも真白、灰葉としてこれからのものをすべて否定して、マシロになったんじゃないかって。マシロになるために否定した灰葉の人生にはこれらが本当はあったんじゃないかと。愛してくれる存在も、未来も、すべて否定した。贖罪のためじゃなくて逃避の意味が強いのかもしれないけど、真白の未来を代理して背負う事はせめてもの罪滅ぼしなのか、意図せずして真白の未来を背負わされてしまったのか、(家族の手によって)マシロの語るお話には灰葉がいないからどこまでが、っていうのは分からないけれど。

飛べないピーターパンとネバーランド
飛べないピーターパンってどういう意味なんだろうって、飛べたら時間を永遠に止めてしまえるという事なのかと思ってたけど、真白の元に行けない、飛べない=死ねない
ティンクを反映した真白を裏切ってしまったからティンクの声が聞こえないのか不完全なピーターパンとしての比喩なのか、ピーターパンはスオウに最後にお前が裏切るんだって言うけどあれは完全に自分(灰葉)に向けた言葉で、ピーターパンを殺してしまう=真白の自殺
何度も何度も死にたいって思いながら死ねなかった自分自身への憎しみと繰り返す物語。ネバーランドの住人の敵意がピーターパンに向けられるのはマシロ自身が自分を許せないから、こんなやつが存在がしていいはずがないって否定、完全じゃないと愛されないは自分のことを蔑む気持ちもあるんだろうけど愛されたかったのに、なんで愛してくれなかった=不完全だからを理由にしてしまっている。でも不完全なピーターパンが愛されないのはマシロのネバーランドのお話で、真白のピーターパンのお話じゃない。不完全なのを否定しているのはマシロで真白じゃない。物語が最後まで進めないのは物語の終わりに向き合わないといけないのが1番向き合いたくない自分自身だから。フック船長と戦う事を避けるのを邪魔するものとして(トケイワニ)が出てくるのはマシロの逃げ出したくなる心の表れで、最強のピーターとして振る舞いたいのに振る舞えない。理想の自分で居たいのに理想の自分で居られない。ピーターには影がない、影を縫い付けてくれるウェンディも居ない。真白のネバーランドとマシロのネバーランドの行く末はまったく違う結末なんだろうなって、マシロのネバーランドは自分自身を取り戻すお話、自分自身を最後まで信じてあげるお話、戦ってこその人生だ。そこにウェンディは最後までいない。ウェンディに影を縫い付けて貰わなくてもマシロのピーターパンは実体を取り戻す事が出来た。ティンクとスオウの仲の良さというか信頼関係が本当に大好きで微笑ましいんだけどあの関係性は真白と灰葉の理想の姿みたいなところもあるのかなって…スオウは1番灰葉を反映している様な気がして、でも最後までスオウが信じてくれたのはハイバの存在が居たからなのかなってそばにいてくれる。裏切らない。
タイガーリリーと結婚するあたりからオリジナルな様の気もするけど。結婚は幸せ、ネバーランドの住人を、自分を、ピーターを幸せにしたかった。真白のピーターパンにも救いはあったんじゃないかって、飛べなくても真白のピーターパンは最強だったんじゃないかって。


光がないところに影ができないから、ハイバに出会って初めて自分の影(本当の自分)を失っている事に気付くんだと思う、そこから始まるピーターパンのお話、自分の過去(影の部分)と向き合う。ティンクがピーターは自分の影を探しに行っている、ピーターには影がない、影がないとどうなる?って言うのはティンクがピーターパンであるマシロが影を失っている事を知っている様な。原作のピーターパンをなぞっているといえばそれまでだけど、このお話の中で影=実体なら影のないピーターパンであるマシロって実体はどこか別の場所にいる可能性があるんじゃないか。マシロとハイバが最後に別れるシーン、お別れだね、って言ってそれぞれ別の方へ歩いて行くシーンが辛いんだけどマシロは光の方へ消えていく、ハイバはすでに亡くなってしまっているってわかるけどマシロの事について言及されないのは誰もマシロの事を分かっていないから、もしかしたらミドリガオカが知っているのかもしれないなとか。

マシロとワスレナ
ワスレナはマシロにとってウェンディなんじゃないかって言われるけどウェンディをネバーランドに連れてくるのはピーターパン、飛べないピーターパンがどうやってネバーランドを飛び出してウェンディを連れてきたのか。あの世界のピーターパンとは。ウェンディというよりあの世界のピーターパン(仮)が連れてきたのは”母親”の様な気もするけれど。”母親”の代わりをしてくれる人。ウェンディとピーターパンでフック船長がウェンディに母親になってもらおうとするならフック船長もある意味マシロである事を考えるとウェンディが母親なのも”ピーターパン”の中のお話として、それもある事なんだけど。マシロの母親の代わりにマシロを肯定してあげる母親、の様な役割の誰か。あの世界でマシロが出会う人たちがみんな優しすぎてみんなマシロを否定しない、肯定してあげる、優しい世界で、施設に居た10年間の苦しみをあのわずか数日(?)で全部取り戻してあげるくらいの優しい世界。ワスレナに限らずマシロは真白の代わりをハイバは灰葉の代わりをしている誰かが誰かの代理をしている世界なのかもしれないなと思って、そこを否定しないのが本当に優しいなぁと思うし。代替のもので解決する感じが心理学とかのセラピーとか治療みたいな。ゆっくり前に進むために必要な事

ティンク
このお話の中のティンクの立ち位置というか振る舞いというかマシロのネバーランドの中でピーターパン(マシロ)にだけその言葉が伝わらないんだけどだからティンクの姿がうまく見えてこない様な、客席には聞こえているけどマシロ(ピーター)に伝わらない事でなんとなくのもどかしさと、そもそもマシロのネバーランドのお話の中でマシロの意思で動いていない様な。役者さんが真白との兼任だからどうしても真白のイメージで見てしまうけど。もしティンクが真白なら最初から最後までティンクはピーターを幸せにしたかったんだなって、影を取り戻して実体を取り戻して欲しかった。フック船長を倒して前に進んで欲しかった。願いはマシロに届かないけれど、ずっとずっと願い続けていたのだと、思って。最後のシーンのもういいよ、灰葉見ーつけたの意味はよくわからないけどそこまで含めて救いのあるお話だと。ピーターパンはなぜ飛べるのか?ティンクに妖精の粉をかけて貰って飛べる。飛べなくなるのは飛べる事を信じられなくなった時。マシロのピーターパンはティンクを信じてあげられなかったのか、とか。ティンク以前にネバーランドの住人それぞれに不信感を頂いているのだけど。自分が信じられないから相手からも信用されないと思っている。ピーターが暴力的になってしまった時に止めてあげるのはティンクで、ティンクが居るから我に帰る、ピーター。ティンクの立ち位置が本当に最後まで不思議でカテコでパソコンを持って出て来るティンクは本当にあのネバーランドから飛び越えてこちらの世界に来た妖精の様で…これ以上この事を考えるには色々と足りてないな、という気もするけれど。

マシロ/ピーターパン
15歳で時間が止まってしまったままの少年。子供らしい自分勝手さと、弱さと強さ。白杖の紐をくるくるともて遊んだり白杖カキツバタをこづいたり。マシロの目は本当に見えていないのか(精神的なもので見えなくなったのか、それとも故意に傷つけて見えなくなってしまったのか)どちらかというと再演のマシロは精神的なもので見えなくなってしまったイメージで、また光を取り戻せるのではないかと思ってしまった。そこに希望を持って見てしまうようなマシロだった。前半の楽しそうにネバーランドのお話を聞かせてくれるマシロと、ネバーランドの雲行きが断端と怪しくなってきて理想のピーターパンで居られなくなってすっと冷めた残酷な顔を見せるのと、ピーターが段々と完璧で居られなくなってくるとマシロもマシロで居られなくなっていて……とリンクするこの2役の演じ分けと演技が本当に素晴らしかったです…あとは素手の殺陣がまさに最強のピーターパン!!!マシロでいる間はみんなに守られてピーターパンでいる時は最強でなくちゃいけないのがどちらもすごく好きだった。本当は最強じゃないピーターパンも好きです。あとマシロがワスレナを寂しそうに呼ぶ声と探す的に伸ばす腕と。ハイバに懇願することはなくてむしろ躾のように怒るばかりだけど、ワスレナに対しては本当に甘える様な態度を見せるのが…本当に…。

ハイバ
本当に痛々しくて悲しくて愛おしかった……。気がつくといつもちょっと泣きそうな顔に見えて、マシロのそばにいられない時はいつもちょっと寂しそうで悲しそうで。マシロがいないと存在できない”ハイバ”だからもちろんそうなんだけど。マシロに怒られてしゅんとする様が本当に犬の様で…犬のハイバ。本当に弱くて優しいなって思うんだけど本当は誰よりも強い、自分の罪を抱えて贖罪のように生きることは難しい。あの時してあげられなかったあの時助けてあげられなかったって後悔をずっと抱えて10年、誰かに優しくすることで誰も傷つけない事で許されたいと思って生きてきたのかなって思うと本当に強いなって。マシロに出会ってハイバにされる前は誰にでも優しかったんじゃないかって、誰も傷つけたくないし誰かを救わずにはいられなかった、たとえそれが自分の罪の贖罪であったとしてもそれで許されるわけがないって多分本人が1番思ってるはずで、マシロに出会ってマシロだけに優しくマシロだけを傷つけさせないとする振る舞いが本当に……どうしようもないなぁと思うしそれで救われてしまうのもどうしようもないなぁって。本当にどうしようもないハイバ…演じられた末原さんがハイバは幸福でしたとブログに書いて下さった一文でこちらも救われる想いだった。

ワスレナ
とっても自分勝手な女性に見えがち、というか勝手にじわじわ死ねるかなとか思って〜とか言いだしてそんな事行ってこの土地に来たのかってあんまり最初の印象は良くないよねーという…ハイバに対してもやたらと好戦的!な一面が。でもマシロとハイバに出会ってあの物語を忘れたくないってずっと思ってた、のもワスレナで完全に巻き込まれた感じなのにハイバが救ってあげられなかったマシロを救ってあげられたのはワスレナが居てくれたからだよなーと思うとマシロとハイバとワスレナの死にたいって思う気持が引き寄せられたのかなと思うし、この人たちを死なせたくないっていう誰かの願いがそこにあったのかもしれないなって。ワスレナを1番救うのはカキツバタだと思うけど、カキツバタに救われてワスレナは生きられる。

カキツバタ
ワタミで3年働いてたり大学の卒論でジェームス・マシュー・バリを扱ってたり必殺技はカキツバタパンチ(キック)だし、という得体が知れなさすぎる。何だかんだボランティアに来たのは本人の意思だしそこで謎のストーキング力を発揮するのは謎でしかないけど、本当にカキツバタは可愛い…。何だかんだ1番可愛いのはマシロでもティンクでもリリーでもなくてカキツバタなのではくらいかわいい(かわいい)ワスレナにお花を差し出したり、理由はないけど死んじゃやだ!っていうのも愛だなと思うし愛は地球を救うを体現するカキツバタ。ミドリガオカからマシロを庇ってあげたり心配して探し回ったり、本当に空気が読めないだけで優しい人だなって本当に大好きでした…初演からのイメージ変わりっぷり……こんなにカキツバタが可愛いなんて許せない(笑)マシロ、ハイバ、ワスレナ、カキツバタの4人の中で1人だけ1人だけ生に対してのエネルギーに満ちていてすごく良いなぁって。お話が暗くなりがちなところに空気が読めないカキツバタがいてくれて本当に救われるんだよなって。

ミムラ先生
灰葉の様に、ハイバの様に出来なくてまた違う形で罪を背負ってきてでも多分大人だからちょっとずるい部分もありつつ逃げて、どうしようもなかった、無力だったって思うこの人はなんとなくちょっとミドリガオカとかにも似たような立場を感じるんだけど間違いなく真白はこの人も救いたかったはずだな、というかスミムラ先生が教えてくれた色の名前がネバーランドの住人たちの名前になってるんじゃないかと思うと無力じゃなかったよ先生、って救われてたよって真白は思ってたんだなって。良かったなーって。真白の言葉が伝わって本当に良かった。

ミドリガオカ
最後までこの人に救いは与えられなかったなって。すごく苦しかった。この人に対しては誰もどうにもしてあげられないし、この人がこの先どう生きていくのかっていうのも気になるところでもあり、いつかは救いが与えられるといいなって、誰かに救ってほしいし物語が終わった後もこの人の存在がぼんやりと残ってすごく苦しい。

ティンク/真白
真白は明るくて可愛くてマシロにとって最強のピーターパンに見えたんだろうなぁって。だからこそこうはなれない自分を見せつけられて苦しいんだろうけど。真白の苦しみは実は分からないなってそれはマシロを通してからしか語られないから。この物語は真白の物語じゃなくてマシロの物語だからっていうところをもどかしく思いつつも、誰にも罪を背負わせたいと願ってた訳じゃない真白にみんな許されたいって思ってるのが一方通行で悲しいなって。ティンクはスオウとの関係がとても好きで、2人のやりとりが逐一可愛い…。すごく個人的な事を言うとティンクちゃんのスカート丈!と思ったのはどうしようもないですありがとうございました。ティンクの立ち位置とか真白とか本当に難しい役だなぁと。

スオウ
なんで関西弁なんだろうって(笑)作戦!?格好いい…とかコミカルな感じなのに最後までピーターを信じてあげるのがスオウ、スオウが居るからピーターは前に進めるみたいなこの関係〜〜〜!すごく落ち着きのない感じがとても好きでめっちゃそわそわしてる感じが(笑)邪気がなくてまさに素直なまま成長したロストボーイそのものだなぁって。戦闘の最中はいつもティンクを庇って守ってあげてる姿も本当に良かった……!

フック船長
最後のフックとは何だったのか(笑)っていうところにツッコミが行きがちだけどいじめっ子の時のシーンとかが本当に見てるのが辛い…フック船長を演じられてる若宮さんが初演のハイバなのも辛い、っていう初演見た人にしかわからない辛い配役を突っ込んで来たのがとても罪深いなぁと…。いじめっ子とハイバのシーン本当辛くて本当に最高の悪役でした…。あのシーンまではわりとフック船長がコミカルで面白く見られるんだけどあのシーンからどうしても……ピーターとの最後のシーンも何だかちょっと暖かいシーンになるのが…ああ…。

タイガーリリー
本当に結婚したさしかない………。あんなに可愛い子が番傘振り回したり日本刀振り回したり挙句に大砲持ち出すなんて!武闘派なのに乙女で、海賊にこのまな板!って言われた後のシーンでめっちゃ寄せて上げてピーターの前に出てきたのが本当に可愛くて、あのまっすぐな瞳で幸せにしてくれますか?って聞かれるピーターは本当に幸せだなぁって、政略結婚だけど。あなたの物語にわたしたちも連れて行ってくれますか?の時のまっすぐで強い瞳も本当に好きです……タイガーリリーに関してはわたしがどうしようもないオタク感を発揮してしまう。花嫁姿も大変可愛かったです…


エンジとブラウニ

何だかんだエンジはピーターに刺されて死んだ、っていうのが考えるとずーんとなるし、ブラウニの言の葉は語る相手をもってこそ!の台詞がすごく刺さるというか印象的で。タイガーリリーの側にいてタイガーリリーを守って戦う姐さんの為に!な姿が格好良かった。

パーターピン
尾崎豊リスペクト!むしろ尾崎豊でしか喋れない!世代を感じる(笑)早着替え大変そうだなというのとオレンジのヅラだけ被せられてはけてくのが(笑)

ススタケ
ワンピースでしか喋れないにパーターピンとススタケの表裏感?を感じて毎回刀咥えないといけないの本当大変だなぁって。いじめっ子のシーンのススタケが何かこうチクチクくるやつだった…

アサギーズ
2人いるのなんで!?と思ったけど2人になることで海賊団がちょっと大きくなってる!っていうのが!ハーレム感!


ロストボーイ
かくれんぼのシーンの全員あだ名で呼ばれてるのにこのカンパニーの仲の良さが伺えて可愛かった。何よりしづちゃんが本当に可愛い…しづちゃんとツインテコンビの氏家さんとのやりとりも可愛くて好きでした。しづちゃんと絡むティンク、タイガーリリー、ピーターが本当に演技じゃない笑顔を見せてて……可愛いだけじゃなくてしづくちゃんも立派な役者さんなの本当に良かった…小さい体で頑張ってくれてて本当にお疲れさまでした。

その他
セットとか照明とかプロジェクションマッピングとか、もちろん音楽とか本当に凄くてこの規模でやるには贅沢が過ぎるのではないかと…!?最後のフック船長とのシーンでセットがさーって動いてフラットな舞台になるのとか、斜め舞台になっているのはオケピの為?と思ったら手すりが出てきてあそこが屋上になってしまうのとか、セットの仕掛けにもいちいち感動してすごいなーと。オープニングのマシロに向けてロストボーイたちが手のひらを前に翳すポーズが印象に残っていてまたあれはなんだったのかなと考えてみたくなる。

改めてとても優しい世界だったなぁって。罪を抱えた人たちが己の後悔と贖罪をしながら自分と向き合って前に進んでいく話。寄り添って少しずつ、進んでいく。誰かに届かなかった言葉を届けたかったお話。誰かの祈りの話で、公演が終わるたびにカーテンコールで拍手するたびにこの物語を終わらせたくないなぁって気持ちでいつもいっぱいで、多分これから先も忘れられない物語だなと思っていて、考えることが多すぎて考えてないこともいっぱいあって、色んな想いを呼び起こさせてくれる大好きな作品でした。本当にありがとうございました。