I was stage gazer

星を追う

お気に召すまま

感想消しちゃってたので改めて初日(4日)と21日のマチネを観劇。

 

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サイケなアーデンの森!

 

正直初日はお話を追う事に必死だったなと思って(あらすじ程度しか知らなかった)2回目の方がかなり楽しめた。でもやっぱり世界観がめちゃくちゃシュールだな…と思ったのはカルチャーショックかもしれない。演出として意図している部分を読み取れてないな?と思うことが多くて消化不良を起こしていたけど気にしなくてもいいのかもしれない…でもやっぱり気になるを繰り返している。シェイクスピア作品に不慣れなだけでなくて、海外の演出家さんが演出されるシェイクスピア作品も初めて見た。日本人の演出家に比べて役者のイメージに固定されない演出を〜という評を見てなるほどな思った。スタンダードな(と言っていいのか)お気に召すままとは大分違う様で、スタンダードな方も見て見たかった。またこれからどこかで見られる機会があるはず。多分。

好きなのは、宮殿からアーデンの森への転換。真っ白な宮殿から極彩色でサイケなアーデンの森へ。この転換がいちばん好きかもしれない。この時キャストの方がくるくると柱を回しているのに気づいてそれもとても良いなぁと。冒頭の宮殿のシーン20〜30分くらい?は無音で舞台が進行するのが辛くて耐えられなくなってしまうのだけど、これは宮殿内での窮屈さを表しているのだなと思うと辛い気持ちになって当然なんだなあと。早くアーデンの森へたどり着いて欲しい…。宮殿とアーデンの森の対比は宮殿でのかっちりとした服装とアーデンの森でのヒッピースタイルにも表れているけど、ただ一人、宮殿でのル・ボーとジェークイズの全身黒スタイルの橋本さんだけは他のキャストと逆だなあと。ル・ボーもジェークイズも好きです。あと道化のタッチストーンは2役でもないし、服装もそのまま。道化の特異性?みたいな事なんだろうか。これちょっと不思議だな。

 

 このクッションが可愛くて地味に好き…

 

ジェークイズの語る人は皆役者、演技をしているとかを聞くとタッチストーンとは阿呆の振りを演じている阿呆なのだと思ってしまう。ジェークイズも多分鬱ぎやを演じている鬱ぎや。アーデンの森でののんびりとした幸せな空間に似つかわしくないジェークイズがいる事でなんとなく浮かれた気分から現実に引き戻されてしまうような感じもする。あの婚礼のシーンでの全員浮かれハッピー野郎からのジェークイズの登場すごく好き。またお前か!って感じだし結局彼にとっては鬱いでいる事が当たり前でむしろその方が幸せなのかもしれないシニカルに生きる。

シニカル、といえば!ギャニミードがオーランドーを試して恋をしている時季節は春〜結婚したら冬〜っていう台詞も好きで決して幸せなだけじゃない未来の暗示。初日よりも21日に見た時はテンポがよく、というか台詞が馴染んで言い回しがひとつひとつ変化していてとても良かった。ロザリンドへの恋を語るオーランドーを茶化して韻を踏む言葉遊びのシーンもとても好き。あとタッチストーンの独特感というか台詞を聞かせるのがとてもうまいなぁと思う。長くて難しい言い回しが多いからこの台詞を”聞かせる”のはとても大変だなと思う。それを飽きずに聞かせられる役者さんはすごい。

と、ここまで普通に感想書いたところで、やっぱりシルヴィアス可愛いってなったのでシルヴィアス可愛い。コリンに本当の恋をした事がないんだ!って力説するところ、フィービーにどうして私を好きになるの?鬱陶しいって言われてる時の恋する男の顔(ちょっとうっとりした顔でフィービー大好きって感じの)もとても好きだし可哀想で可愛い。シェイクスピア調の台詞を喋る平野良最高かな?ってなりますよね、あの抑揚のつけ方とか聞かせ方がやっぱりいい。ギャニミードに可哀想な羊飼い、いい男じゃないか?って紹介される時のポーズが明らかにインスタっぽいポーズ(カレンダー撮影時にもやってたやつ)で中の人がにじみ出ている感じがあった…(笑)あと初日から比べて大分調子に乗っている(笑)勿論、情けない可哀想な羊飼いであるからそういうところはそうなんだけど…表情がころころ変わるし調子に乗るし、きっちり笑いを誘って行くし、とても良い。あとシルヴィアスだけじゃないけど顔芸が面白い。多分感情表現はちょっとオーバーに、くらいのことを言われているのかなと思った。子羊ちゃんたち置いてっちゃってごめんね、するのも可愛い。たまに落ち込んであのカート(?)にもたれてる時に子羊ちゃんに慰められてるのも可愛い。笑われてるけど。多分意味も分からずにただ可笑しくて笑っているんだけどその無邪気さが一層残酷。子羊ちゃんたちが最後天使になって喜びをもたらす使者になるけどあの何言ってるのか自分で分かってないなりにそれらしく喋るのが本当に可愛い。それこそ天使の口を借りてかみさま(みたいな何か)がしゃべっている感じがより一層出るなと。あと1幕のレフェリー役も好きなんだけど貴族役の伊礼さんとめっちゃ喋ってて何喋ってるのか気になる。しっかりレフェリーやってるしたまに攻撃食らうし最後の担架に運ばれていくまでちゃんと誘導するし本役じゃないけどとても好きレフェリー!

あとアミアンズの伊礼さんの贅沢使い…いやお歌がいっぱい聞けてとても良いです…台詞がほとんどないアミアンズが21日のマチネ回で回転扉にぶつかったオリヴァーを見て本気でぶつかったね?ってリアクションしていて面白かったです。アドリブというか素のリアクションというか(笑)

あとオリヴァーがとても好きで、最初の方の冷酷非道な長兄からの、公爵から脅されて何もかも奪われさらには命の危機に晒される、森に入り幻覚を見て改心した後、一目惚れをして結婚する。ドラマチックすぎる(笑)オリヴァーが森に入ってぼろぼろになっている時に口に何か含まされていてあれのせいでラリってライオンと戦うオーランドーの幻覚を見ていると聞いてなるほど!と思った。あの1人再現シーンが大好きで。結局オーランドーは森でお兄さんを拾っただけで怪我ではなく刺青だし、あの1人再現シーンがラリった末の幻覚だと思うと大分面白い。

ちょこっとだけ歌う入江さんのお歌も素晴らしくてもっと聞きたいなぁと思うとか橋本さんも普段はミュージカル方面でご活躍されてる方なのだしお歌が聞きたいなとかキャスト的にもとても楽しい。初日よりも2回目が大分楽しかったなと思うのと、シェイクスピアの台詞はやっぱり面白いなと思った、As you like it. 

 

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初日に行ったの初めてだったから地味に感動した。