I was stage gazer

星を追う

白蟻の巣

新国立劇場小劇場。

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新国立劇場の資料室のアーカイブは利用したことがあるけど劇場の方に行くのは初めて!何だか面白い造りだったけど座席はだいぶお尻が痛かったクッション引いてたけどお尻が痛かった。感想を書く時にあらすじがあると大体見ていない人にもわかりやすいのでは?と思うけどあらすじをかくのはなんとなく苦手な気がするここがよかった〜という話をしつつお話を説明する感じになる、ので公式より引用

白蟻の巣 | 新国立劇場 演劇

あらすじ

ブラジル、リンスにある珈琲農園。経営者である刈屋義郎と妙子夫妻、その運転手の百島健次と啓子夫妻。4人は奇妙な三角関係にあった。啓子の結婚以前に、妙子と健次が心中未遂事件を起こしていたからである。

それを承知で健次と結婚した啓子ではあったが、徐々に嫉妬にかられるようになり、夫と妙子が決定的に引き離される方法はないかと思案する。一方、心中事件を起こした妻と使用人をそのまま邸に置き続ける義郎の「寛大さ」に縛られ、身動きの取れない妙子。

義郎の寛大さがすべての邪魔をしていると思った啓子は、邸から遠く離れた地へ義郎を送り出す。

義郎の留守の間に健次と妙子が再び関係を結び、それが露呈することで自分たち夫婦が邸から追い出されることを目論んだのだ。

白蟻の巣のように、それぞれの思いが絡み合い、いつしか4人の関係が変化していく......。

 

白蟻の巣は元には戻せないし1回起こってしまった事はひっくり返せないみたいな話なのかなと思っていたら全然違った。まったく想像と違った。むしろ昼ドラだった。昼ドラだと思えばとてもしっくりくる!ああいうの見た事あるような気さえする!以前に別の作品で拝見した村川絵梨さんがとても好きでまた拝見したかったのだけど美しかった…君は太陽のようだって表現されるように本当に暑く、輝いていた。以前の作品でもエネルギーを発散させる様な役で彼女はそういう役を当てられることが多いのかな。とても瑞々しい感情を持って演じられるのが好き。

スカピンで拝見した安蘭さんは逆にこれまでのイメージとがらっと違う不気味な幽霊の妙子。不気味ゆえの美しさとか生気を失っている故の美しさみたいなのがやっぱりある。どうしようもなく飲み込まれて行きたくなっちゃう感じ。この人に絡め取られたい感じ。アリ地獄を思い出した。

あと大杉さんのコミカルさが好きででもあの人も死んでいるというかむしろ無関心によって殺されている様な気がした。知っていて知らないふりをしているあの人も死人なのだろうけどそれでも偽りの様な外への関心があって道化として振舞わねばいけないみたいな立場も感じる。

啓子はあの死人しかいない空間の中でみんなやり過ごしている様な中で1人だけ生きていたしそれがとても辛かったのだろうし当事者としてもっと参加したかったのかも知れないと思ったでもそれが叶わなかったし彼女はやっぱり太陽なんだなと思った。みんな太陽に焦がれていた。奥様が啓子さんが美しいっていうのはやっぱり本心だと思う。

死人は最初から死んでるから死ねないのだと思うし、多分なんどやっても死ねない。生きている人は啓子だけだ。大杉さんも夢は夢のままでって思い描いている日本は夢の国であって本当に日本に帰りたいわけではない。本当に死にたい訳ではない2人も同じ感じなのかな死を夢見ているだけで本当に死にたい訳ではない。

もともと少人数のお芝居だけど台詞の量がすごいし言葉の言い回しが面白くてさすが三島由紀夫だぁと思ったし妙子と健次、義郎と啓子のそれぞれの関係の対比とかも面白かったしそれぞれこの二人ずつでやりとりするシーンが多くて本当に言葉が多くて面白かった。

ゆっくりとテーブルが移動したり、ベッドが移動したりするのが気味が悪いのとあの舞台機構どうやって作ってるんだろうという疑問が。あと紗幕の向こうにある白蟻の巣のセットの気味の悪さとか。紗幕で引かれた境界がブラジルの空気を思わせるというか。むわっとした感じ。

新しい血をどんどん取り込んで死なせて腐らせて結局あの夫婦はそれでも何も変わらずに表面を取り繕ってご主人の寛大さの元に生きていくのだろうか。啓子は一筋の光に見えたのだな何もかもを壊してくれる様なものでもあり。啓子が旦那さまのことをあなた、と呼び始めて奥さんの様に振舞い始めたのが本当に好きだった。強かな美しさ。

もっと色々細かな部分を理解&考えられたらよかったのかなと思うけど私にとっては理解出来ないような理解出来る様なちょっと気味が悪いお話という感じだった。とても好きです。