I was stage gazer

星を追う

あやめ十八番 三英花 煙夕空

前々から評判を聞いて気になっていたあやめ十八番が初の地方公演ということで行ってきた

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Next Stage | あやめ十八番

あらすじ

骨董商・尼子鬼平は眼が見えぬ。故に、彼は惑わない。
贋作家たちの緻密な細工も、精巧な色遣いも、尼子は見ようとしなかった。    
“真贋は釉薬の下に潜んでいる。”
若い尼子は既に、骨董の真理に迫っていた。

或る夜、尼子の師・織部雨左衛門が自室で殺害される。
容疑をかけられたのは、雨左衛門の妻・やゑ。妻は、犯行を認めている。
尼子は、やゑを見ようとしなかった。
一人、釉薬の下に隠された真贋を見極めようとしている。


黄昏時、尼子は事件の目撃者たちを集め、話を聞くことにした。

証言台に上ったのは、日本刀、壺、幽霊絵。

とりあえず言いたいことは凄く好きなタイプのお芝居だった!色々ぐだぐだ感想を書いてしまうけど本当に好きなお芝居だったという事だけ先に書いておきたい。

好きだ!面白い!ってシンプルに言うだけでも良いなって思うしでもこねくりまわしたい性分なので詳細を解説しながら感想を書いてしまうでも本当にシンプルに面白かった

面白かったし、場所(会場がお寺のホール、裏が墓地)の雰囲気と作品の雰囲気が相まってすごく呪術的なお芝居だなと思ったんだけど古典芸能には祓い、場を清めると言う意味のある演目もあるしそういう古典芸能の要素を感じるなと思ったし落語みたいだなと思う部分もあったんだけどまさに狙いがある様で納得した

ayame-no18.com

歌舞伎、能、浄瑠璃など、様々な日本の
古典芸能を基礎とし、古典のエッセンスを
盗み現代劇の中に昇華することと、
現代人の感覚で古典演劇を再構築する
ことの、両面から創作活動を行っている。

三方囲み舞台で会場にはお寺の御本尊が鎮座していて、あの会場に御本尊があるのも初めて知ったんだけどいつもは隠した状態で劇場として使っているから見える状態でお芝居を上演するのは初という事らしくでも作品の雰囲気ととても合っているというかその状態だからこそまた感じる雰囲気を作り出していて良かった。ちょっと厳かな気持ちになるという不思議。海外だと教会でお芝居をする事はあるんだろうか…?教会をホールしてコンサートやるところはあるけれど

舞台セットというセットはなくて床面に盤面が引かれていたけどお話の中で将棋を指すシーンが出てきてそれで盤面がモチーフなのかと思ったのとお話も相手の裏を読むとか腹の探り合いをするみたいなまるで将棋の差し合いの様に進んでいったり、1人の登場人物を複数の役者の声色で発声したり(本人はその役以外の役で声を使うのでそこで本人の声を使わないのかもしれない)腹話術、操り人形的な演出も凄く好きだったのと、登場人物(?)に骨董品の壺、幽霊絵の掛け軸、幽霊斬りの刀が出てくるけどそれを演じる役者さんは人の見た目のままで、その表象を影絵を使って現すというのも凄く良かった。あと蔵に住み着いている蜘蛛がストーリーテラーの様なラストのオチの鍵を握っていたけどそれも影絵で出てきたり、指を使って表現したり、小劇場というかこの空間ならではの演出の面白さというかを感じて面白かった。東京での劇場も凄く凝ったところだったようで確かに上演する会場を選んだ方が面白いだろうし、映像にも残らないらしいので生で見られて良かった。多分あの会場なら席をもっと置ける様なきがするけどあの舞台にするためにかなり減らしているのかな?と思った。

小劇場でのお芝居ってセットが簡素だったりする分役者さんの想像して見せる力と見る側の想像して見る側のイメージがそれぞれの脳内で共有できないと表現できないところが凄く好きでそこの部分の噛み合わせがうまくいかないと全くつまらないお芝居になってしまうから大劇場で見る豪奢なお芝居も好きだけど小劇場ならではの作品に巻き込まれるというか呑み込まれてしまう感じもとても好き。

今回の作品については呪われたという気がしたけれど。

幽霊斬りの刀が銘は違えどにっかり青江をモデルにしているようで、某オンラインゲームで青江が好きなのでとても喜んでしまったこんなところで出会うとは。その刀は本当の幽霊斬りの刀ではなく贋作だったけれど守り刀として主人に大切にされたからたとえ贋作といえどこの家の守り刀でいたいという気持ちが凄く良かった。モノに命が宿る、付喪神という概念がある日本ならではというかモノを演じるって役者さんも凄いよくよく考えたら擬人化なのだし本当に日本の面白い文化だとしみじみ

盤面のセットの四隅でなく六ヶ所かな?に灯が灯されていてまるで怪談噺を聞いている様でもあったし、生演奏だったけど演奏されている方が役者でもあったし他の役者の方も楽器演奏したりして本当に呪術みたいなお芝居だった。最初と最後のシーンが一緒で呪いを閉じて終わるみたいな感じも面白かった

あやめ十八番代表の堀越さんがWキャストで出演されていたのだけど女性の役をやったり詐欺師の様な人を欺く骨董屋だったり(ちょっと京極堂を思い出した)凄く役者としての表現も好きだったんだけどさらに作・演出されてるのが凄い、全体的に動きというか会話劇というか台詞の言い回しが凄く好きだったんだけど結構な台詞量でまくしたてられるからそれも単純に凄いなと思ったんだけどなにより発声がとても良かったあの台詞量でも聞き続けられるの凄いなと思ったり単純に言葉を重視してお芝居を見ているというのもあるけど

盲目の役を演じていて某作品を見てから盲目の役の演じ方についてどう演じるのか興味があって凄く見てたんだけどこちらを向いているのに目が合わないのは本当に見えていないという気がしたしやっぱり見えているのに見えていない様に演じる方がいいのではとか…(某作品で本当に見えていない状態で演じていたのを踏まえて)

お芝居を見る事、についての自分の姿勢というかを最近迷っていたりしたけどやっぱり見たいと思う面白そうな見るという方向性でいいんじゃないかなと思う素敵な出会いだったのでこれからのあやめ十八番の活動も気にしていきたい

 

ちなみに見に行こうと思ったきっかけが谷賢一さんのブログで絶賛されていた事なのでそのツイートを参照しておく

 知り合いの方が谷さんのファンで去年のオーファンズが谷さんの翻訳で今年白蟻の巣で初めて演出を見たんだけどもっと見てみたい