I was stage gazer

星を追う

オーファンズ 2017

2017年のオーファンズ初日を見てきました

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2016年のオーファンズも見てるのでキャスト・演出違いで再び。やっぱりこのお話がすごい好きだなーってなるのとこんなお話だったっけ?って思ってやっぱり全然違う。細貝さんと佐藤さんの兄弟はめちゃくちゃガタイが良い。加藤さんが小柄だから余計に…ハロルドは大体小柄な俳優さんが演じられるのかなと思うけれど。濃密なというか3人芝居の会話劇で1人分の台詞が凄く多くて大変そうだな…って汗びっしゃびしゃだった。あと初日だから独特の緊張感。

本当に大変だろうな〜と思うしアフタートークで失敗しても誰も助けられないという話があって本当に大変だな〜って…会場が大分広くなってもうちょっときゅっとしたところで見たいんだよな〜と思ったのはあれど本当に良い作品なのでぜひ

ネタバレしない感想としては細貝さんがめっちゃ美人だったって事を主張しておきたい33歳になったばっかりって言ってたけど美人…

 

 

と言うことでネタバレ

オーファンズはまずハロルドが1番好きで、っていう話をしたいんだけどあんな愛のあるおじさんなかなかいない…出会った瞬間にこいつらに愛を与えてあげられるのは俺だけだって思うおじさん…おじさん…デットエンドキッズ…っていうところが本当にツボで、ハロルドはデットエンドキッズってトリートに呼びかけるけどそれは昔の自分に対する呼びかけでもあるかなと思う。あと死んでいった仲間たちとか。

トリートはフィリップから全部奪って抑えつける事でフィリップを自分の側に置こうと、自分から離れていってしまう事を恐れて、何もかも奪ってるんだけどそんなフィリップに全てを与えて広い世界を見せようとするのがハロルドなんだけどお兄ちゃんからしたらハロルドからフィリップに与えられるものって全て自分が奪ってきたものだし、自分から離れてしまう要因になるかもしれないものばっかりで不安で不安でしょうがないっていうトリートの焦燥感とか孤独とかが凄く好きなんだけどそれを全部怒りと暴力にぶつけて誤魔化してるトリートを見抜いてトリートにも与え続けるけど、トリートには与えるだけじゃなくて自覚させることが必要で、トリートを"変化"させる事は凄く難しくて反発したままハロルドから与えられ続けてた愛をやっと素直に受け入れられるのがハロルドが死んだ後っていうのが何ともこのお話の淋しいとこなんだけどやっぱり凄く好き。最後に泣き叫ぶトリートとそれを後ろから抱き締めるフィリップで終わるんだけどハロルドによって与える愛を教えて貰ったフィリップだからできるんだよね…と言うところが凄く愛おしい……兄ちゃんが守ってやるからな、だけじゃなくてフィリップも本当はトリートにしてあげたい事があったんじゃないか何もできないと思わされてきただけじゃないか、みたいな事とか。

ハロルドがよく元気付けてやる〜って言ってやる肩を抱く動作をすんなり受け入れるフィリップと頑なに拒んで触るな!って逃げ回るトリート、ハロルドが死んだ後に触った事なかったって凄く愛おしそうに触るトリート…にやっぱり凄くグッとくるし細貝さんのトリートがめちゃくちゃ美人でハッとした。

1幕は貧乏な孤児で2幕は良いスーツを着せられてパリッとしたのちの2幕後半での取り乱しっぷりがやばいんだけどそのパリっとしたスーツを着ていながらも細貝さん美人だな?ってなったから美人力が強い

あとスーツにガンホルダーで性癖を貫かれる人めちゃくちゃいるでしよってなったのでとても良かった。スーツに帽子でマフィアって感じなんだけど細貝さんはどこかしら女優感というかああいう格好してても滲み出る女性っぽさというか柔らかさがあるのなんでだろうってちょっとに思ったので細貝さん推しの方に教えて欲しい。

細貝さん以外のお2人の話もしたいんだけど加藤さんも佐藤さんも初めて拝見して佐藤さんのフィリップめちゃくちゃ大っきくない?と思ったけど大型犬ぽさあった髪型もふわふわだし2幕で髪ペタッとしてるのも可愛いけどバス中の黒人を再現しろ〜のとこでめっちゃ強くて笑ってしまった生成くんのフィリップはあそこでめちゃくちゃ頑張ってるイメージあったんだけど佐藤さんのフィリップ普通にめっちゃ強い

加藤さんのハロルドはこのハロルドがお料理作ってくれるの可愛くない???ってなったしアフタートークで話してた猿轡外しチャレンジの成功率が低すぎて笑った。あの猿轡と縄はずしのシーンの前にめちゃくちゃちゃんと縛られてるよ!って言うのを見せられるからフィリップと話してるうちに外せてしまうハロルドにフィリップも見てる側も一気に惹きつけられてしまうのがとても好きなんだけど。

トリートの兄ちゃんは〜って言うのがめちゃくちゃツボで…去年はトリートの"兄貴"だったから兄ちゃんって自分で言うのかの兄ちゃんって感じがよりフィリップの"兄ちゃん"でい続けないといけなかったというかそれしかなかったお兄ちゃんって感じで良かった

女も教育も外の世界もトリートにとっては全てが自分からフィリップを奪うものでしかなかったって大分弟依存の強いお兄ちゃんだなと思ったんだけど全てを取り上げられてもなお求め続けたフィリップに対してトリートの方がやっぱり弱い人間だからかな、トリートがフィリップに与えられるものより奪ってるものが多いのが辛いんだけどトリートは"与えられなかった"子供だから"与えられない"っていうのが

トリートとフィリップの世界って凄く小さな2人だけの世界で2人だけで作ってきたその小さな世界にやすやすと足を踏みいれるハロルド、あっさり受け入れてしまうフィリップってトリートにとって本当に一晩で人生がまるで逆転してしまう様な自分がフィリップにとっていらない人間になってしまったんじゃないかっていう疎外感とかトリートに感情移入してしまうところが多い。フィリップがいなくなってしまってかもしれないと思ったときにクローゼットからママのコートを出して縋り付く”幼児”のトリートとかが本当に好きなんでトリートがあんなに暴力的で威圧的なのか、がそこで分かる気がする。

"孤児"が生き続ける事は難しい、から生きてるだけでえらいみたいな事を言いつづけてフィリップを褒めるハロルドと、なかなか自分を認めくれようとしない、信頼を欲しがるトリートの関係が本当親子みたいだし、フィリップ・トリートのママの話とか女は好きか?の話題とか本当に男臭い話なんだけどそういうとこも擬似親子っぽくて良い。

孤児たちによる家族ごっこって言ってもいいような感じ。

 何故か2016年版の時よりも食べものが存在感が減った気がしてしまったんだけど(去年は見終わった後に凄くキャベツとコンビーフ煮込み食べたくなった)ブイヤベースはちゃんと中身が入ってたみたいなのに何でだろ…

あとセットの違いなんだけどフィリップが窓を開けてハイヒール取りに行くシーンが裏で行われてたのがちょっと残念だった

後ラスト付近の演出がちょっとくどいかなと言う感じもしたけどそれは個人的な好みの問題として。シーン変えが多くて暗転が多いのも人によっては好みが分かれるかなこればっかりはシーン替えが多いからってなるけど

翻訳劇において外国人っぽい喋り方だな?ってなるのは役者さんが翻訳口調の台詞に合わせちゃうのかそれともそう言う演出をつけるのか分からないけどかなり外国人っぽさのある台詞回しだったけどアメリカ〜!って感じがして良かったのかもしれない。

 何度でもキャスト違い演出違いで見たい〜!ってなるのはこのお話が凄く良くできた作品だからだと思うんだけどまた色んな役者さんで見たい!オーファンズがこれからも上演されつづけて欲しい!