オーランドー
嵐の中を見に来たら電車が運転見合せなのでその隙に書いています。嵐の中芝居を観に来るのは速水真澄くらいだと思ってたら客席すごく埋まっててみんな速水真澄なんだと思う(終演後の運転見合せですのアナウンスにどよめいていたけど)
すごく面白かった!毎回言うけど凄く面白かった。オーランドーは性別も時代も飛び越えるって事で時代は16〜21世紀、オーランドーの16際から36歳、オーランドーは30歳の時に女性になる。16世紀から始まって21世紀で終わるんだけど時代の移り変わり、途中で性別が変わる事によってオーランドー自身が社会に対してどう向き合うか、社会からどう扱われるかみたいな事がどんどん変化していってオーランドー自身は何も変わっていない様にもその時々で柔軟に変化し続けてる様にも見えて面白かった。
16世紀の少年のオーランドーはサーシャというロシアの姫に出会って恋をするんだけど17世紀に裏切られて、オーランドー自身は18世紀に女性になって(二幕から女性で登場するオーランドー)19世紀で恋人を求めて結婚して20世紀でまたサーシャを求めて21世紀のオーランドーは詩を書いた
全くもってお話が意味不明にしか説明出来ないけどこれ多分文章で読んでも意味不明だろうなと思うから原作の小説を読む気にはなれないんだけどお芝居でならまた観たい。余裕さえあれば2回くらい観たかった。日本初演って事でこれから再演も期待できるのかな?
難しい?と言えば難しいのかもしれないけど理解するよりももっとなんか色々楽しんでしまった。何よりビジュアルとか役者さんの演技とか。台詞が三人称"オーランドーは〜"とか"彼女は〜"で語られるの面白かったオーランドー以外は彼女を語るために存在するみたいな。
オーランドー自身でさえもオーランドーを語るための存在の様な、オーランドーは詩人でずっと様々な時代を生きる中でも同じ詩をずっと書き続けようとしている。
詩を完成させようとしているオーランドーの話?と思えばいいのかなよく分からないけど
会話よりは説明する台詞の方が多くて多分文字にしたら膨大な量なんだろうなと思う台詞をすらすら喋り捲る役者さんたちの力がめっちゃ強いというか台詞をちゃんと自分の言葉にしてるのが好きだなぁと思った文語口調で喋り捲るのに文章じゃなくて言葉として存在するというか。
私は書き言葉も喋る言葉とそんなに変わらないけど喋る言葉と書く言葉は本来別物で書き言葉を喋る難しさというかそれが音声で入って来ても何となくすらっと聞き流しちゃうんだけどまあ台詞回しが良かったよねという話
ロシアの姫サーシャとオーランドーがフランス語で会話をするから周りの人間が通訳します!って言って説明されるの面白かった
ロシア語フランス語イタリア語出て来たしイケテツさんは美声を披露するし最高
若い女優さんたちとベテランおじさんたちなの素晴らしいキャスティング
主役の多部さんは(多部未華子)映像で見てる時も好きだったけどサロメの舞台をやっているの映像で見てこの人のお芝居生で見たい!と思っていたし生で見てやっぱり凄く良かった。好きだ。(元々好きなタイプなのはわかっていた)
少年のオーランドーから青年のオーランドー、貴婦人のオーランドー、近代女性のオーランドー、現代のオーランドーを変化と変化しない部分の演じ分けというかオーランドーはずっと死への憧憬があるとか、時々憂鬱にとらわれるとか、時代が変わっても性別が変わってもそれだけは変わらないオーランドー。
周囲の人たちは役も色々変化していくんだけどオーランドーはオーランドーのままで。何とも不思議な役だなぁと思った。
16世紀のオーランドーは短髪17世紀世紀のオーランドーは長髪、18世紀のオーランドーは貴婦人(高く結い上げた髪型)、19世紀のオーランドーはビクトリア調、20世紀のオーランドーはモダンガールっぽく、21世紀のオーランドーはドレスを着て多部さんの現在にも近い感じで16世紀世紀のオーランドーと17世紀のオーランドーの瑞々しさがイチオシ…オーランドーが女の子の絡みも最高のやつ…あと影絵で見る情事のシーンがめっちゃエロかったしそのあと女になったオーランドーが一糸まとわぬ姿で〜にすごくどきっとした…
青年オーランドーが情欲?を覚えるシーンで股間を抑えるのがすごくえっちくて良かった…股間を抑える多部ちゃん.......
2幕からオーランドーが女性になって登場するんだけど男性から女性になって戸惑うオーランドーの態度がすごく倒錯的だったし、元々演じている多部さんは女性で男性を演じて男性から女性になった人を演じているという構造が複雑化していく感じがすごく良かったし宝塚の男役の人みたいでもあった。
男性っぽい仕草・態度はわざとらしくないのに女性らしい仕草・態度はわざとらしく演じるとか。
オーランドーが今生きている時代によって己を形作られているみたいな台詞があってなんていうかすごく印象的であったけど自分がどうある事を求められるか、みたいなオーランドーは男性であった時に女性に求めたものを女性になった時に求めていた振る舞いができないとか。時代によってその性別のあり方というか振る舞いが違うとか。
オーランドーは男でもあり女でもあったとかそういう台詞がすごく面白くてシェイクスピア劇の様なお芝居でもあった様な。文語調の言い回しだったからかな。
演出的にすごく好きだー!ってなったのはサーシャがスケートを滑りながらくるくる回ってくるところとかサーシャとオーランドーが2人ですべてってロンドンへ行くところ、凍ったテムズ川をビニールで表現するのも面白かった。
舞台の演出は画面(舞台の上)の構成力がすごく大事だと思ってるんだけどお客さんの視点を固定出来るわけじゃないから隅から隅までどこを見ても楽しめる様にしておかないといけないというか。映像は視点を固定して見せる事が出来るけど舞台はどこを見ても自由だからそこをどうするかに演出の面白さみたいなものが出るのかなと思っていて白井さんの演出はそういう構成力みたいなものがすごく好きだなと思った。偉そうな事を言ってしまったけど
あの作品を6人で構成している事がとにかくすごいなーってなったんだけどオーランドーさえいれば出来る物語なのかもと思ったし本当に不思議な作品だったなというのとそういうところと演出と役者さん含めてとても面白い舞台だった。もう1回見たら自分の中でもっと手繰り寄せる事が出来るのかなと思うくらいに自分の中でこの作品に対する理解というか輪郭みたいなものがあやふやで掴めないものという感じがする。
現代のオーランドーは何かを納得した様なラストだったんだけど。
あらすじだけを説明するのも見た人だけにしか伝わらない感想書くのもなと思うんだけどどっちもできなくて中途半端になってしまうなといつも思う…