I was stage gazer

星を追う

表に出ろいっ!〜One green bottle〜

秋の観劇強化週間3本目!今回の観劇強化週間の本命と言っても過言ではない表に出ろいっ!の再演&English ver. この作品を生で観劇出来るなんて夢が叶ったような気持ち。足跡姫で告知見た時から絶対行くからなー!って思っていたので本当に見られて嬉しかった

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ちなみにこれはセットの模型。客席で二面から囲む舞台。

onegreenbottle.jp

芸劇の先行でバッチリ最前を確保したんだけど下手よりでセットを斜めから見る感じだったんだけど最前の通路を走り回る母が見られて良かった…あの距離で見てしまった母……お着物が本当可愛いのとあんなにブンブン走り回っても着崩れしないの本当すごいあと娘が母を後ろから抱きしめる(死のうとする母を止める)が目の前で見られてよかった!娘ちゃん可愛いけどでかい。

初演と設定が変わってるとこがちょこちょこあったから初演のDVD見返したくなった。

全体的にドタバタ喜劇、なんだけど一皮剥くと家族の形を為していない家族の話、あんな状況になるまでちゃんとお互いの事をお互いで分かっていなかったとか、恐ろしい状況を作り上げて初めてお互いを理解しようとする家族とか考えると凄い表面的なところでしか理解してないんじゃないかと思ってしまうんだけど深層的な理解とは何かというとそれはまた難しくそこまで考える必要があるのか、とか真意はそこにないそもそも真意とは何か。見た人が感じたもの受け取った物がその作品そのものだという話もあるけれど、まず"理解"をしようとしてしまうので。そういうところが浅はかだなー!と思ってしまう…

野田秀樹の作品は言葉遊びが巧みで洒落が効いてる!と思う楽しさと社会的なテーマを含んだ部分、現代社会を皮肉る様な社会を斜めに見る様な作品が多いと思ってるんだけど(こういう事言うのもなんだか)そう言う風に見えるのはそう言う風に見たいからだと言う気がしてもっと単純な部分も本当はあるんだろうなとか考えてしまう。全然作品の感想ではないけどやたらと内省的になると言う事で。

父母娘はそれぞれに今夜出掛けなければいけない理由があり、家には妊娠を控えた飼い犬がいる。誰かが家に残って犬の面倒を見なければいけない、誰も家は残りたくなくてお互いに役目を押し付け合う。そのやりとりががどんどんエスカレートしてお互いの足を鎖でつなぎ、外と連絡が取れない状況で家族は取り残される、と言う話で父はワンダーランド(某夢の国を彷彿とさせるキャラクターのカチューシャ、シルエットが出てくる)母はボーイズ・ボーイズ・ボーイズ(鞄に少年たちの顔写真と裏にメッセージが書いてある団扇が入ってると某ジャ◯を想像させる黒い噂がある)娘は常にスマホを弄り、自撮りを撮るそのほかIT機器にも執着している様子を見せるが実は新興宗教にハマり世界の終末を信じている。(確か初演では宗教までの設定はなかった)

設定の変更あれこれはより時代に合わせた変化という気がしたし、英語ver.で上演するための変更かなとかどっちか分からないけれど。

父がお腹にいるのが娘だと分かって堕胎させようとした話も初演にはなかったはずでもあの両親は娘ちゃんを愛していたと思うけど…夫婦の愛の形もちゃんと見えるんだけどどうしてこうなったというか初演を見た時はオタク趣味って宗教の様なものだとか、宗教についての意識がそこまでない日本にあるのはオタクという信仰だなとか思ったけどそれとはまた違うようなもっとダイレクトに娘が新興宗教にハマっているという話があるからか余計にこうこの物語の核を為す"信じること"ってなんだろうって言うのが余計に分からなくなったような。

うまく言葉にするのが難しい感じがある。分かった風にするのが1番いけない気がする。

父が能楽師から能のシテ方になって能の所作が増えたんだけど外国人で女性であるキャサリン・ハンターさんに能のシテ方を演じさせる面白さってやっぱり演劇の面白さだしそもそも登場人物誰もがまず本来とは別の性別を演じているんだけど性別も年齢もさらには言語を越える演劇でしか成り立たない面白さがまずあるって事を楽しんで内容についてあれこれなやむのは範疇外の事なのかなとも思う。

すごくパワフルで観ている方も体力使うんだけどたくさん笑えるし笑った分ぞっとするし最後のOne Green Bottleの意味は何なのかまだ考えたいところはたくさんある。能からの台詞の引用とか切腹!とか仰々しい"日本らしさ"というか父の髪型がハゲヅラバーコードなのも日本人の中年の典型だし、母はサザエさんの髪型だし、娘は紫髮の子できゃりーぱみゅぱみゅ的なイメージなのかな?と思うし表象とか寓意的な意味があるのかなと思うけれど…そこまで考えるにはやっぱり足らないなと思う。

 やっぱり感想にするのはとにかく難しい…野田秀樹の作品について語る事が難しいのは失礼な事を言えないみたいな私の自意識に起因するので…もっとたくさん色んな事を知らなくちゃいけないというか自分の無知さを自覚するというか全く自分の話ばかりでつまらない…

誰か他の人の視点が欲しいから観に行って感想聞かせて欲しいと思うんだよね…私には語る事が難しい。

難しく考えすぎなのかなと思うし、あまりに象徴的なものが多すぎて気を取られているだけかなとか…英語上演でイヤフォンガイドから聞こえてくる日本語を聞くんだけどやっぱり役者が生で喋る言葉を堪能したさはあったから英語でわかると良いのに!ってなったしそこを補うようにちょこちょこと日本語でセリフ入れてくる母がやっぱり面白いし凄かった。