I was stage gazer

星を追う

表に出ろいっ!~One Green Bottle~ 追記

 

stargazer9.hatenadiary.com

 観劇時の記録であまりにもわからないを連発してしまったこの作品に付いての落としどころというかツイッターで投げたりして気づいたこととか、友達が見に行ってくれてそこから拾った感想などで気づき!と納得を得たので見た人にしか通じないなんなら自己解決のための記事です。

見に行った友達がこのお話はホラーだ、と言っていた事からホラーか?ホラーかもしれないと思ったけれどそのホラーというか恐怖が増したのは初演からの改変部分、冒頭での報道のテレビ映像でこの家族の行く末がすでに示唆されている事、ラストのシーンで意味ありげな幼児の歌うOne Green Bottleが聞こえてくる事だと思う。

さてこのOne Green Bottleが曲者でもともとイギリスの童謡を元にしている、元にしているだけでそのまま使っている訳ではないので元ネタはマザーグース

Ten Green Bottle

http://www2u.biglobe.ne.jp/~torisan/mglist-t1.html

この曲を知っているのと知らないのとではかなり理解が違う、気がする。このTen Green Bottleは数え歌で最後には全ての瓶が落ちる。最後には誰もいなくなる。

この曲も含めた改変部分についてわかりやすくしたんじゃないか?という指摘があって初めてあくまで英語ver.なのでかなり向こうの英語圏の文化に寄せて”わかりやすく”しているという事に合点がいき…(当日パンフレットに海外のキャストと演じる際には日本人のキャストには言わなくても”分かる”事をきちんと言葉にして説明しなければいけないという夢の話が書いてあった)

私が初演を見ている事、さらに”日本人”の視点を持っているからこの改変の意味について色々考えを思いめぐらせていたけれど問題はすごくシンプルだった。

英語ver.で演じるキャストも外国人、観るお客さんも外国人を前提として作られているものを日本で観るのも面白いし、まあどうせならこの文化を共有できるところで見たかったという気もする。逆に外国の方が見るとどう見るのかが知りたい。

父がハゲヅラのビジュアルになったのも、娘が原宿系(まるできゃりーぱみゅぱみゅ)になったのも全て外国からみたステレオタイプの日本、と思うと面白いなというところもあるし、父が能楽師ではなく脳のシテ方(主役・能面を被る方)になったのも”わかりやすさ”の部分だと思うと至極合点がいく…答えはすごくシンプルで単純なところにありました。

あと娘がはまっているものがファーストフードから、カルト宗教団体になっていて日本だとはまっているものファーストフードでもおかしくない(おかしいと思うけど)けど外国に持っていくにあたってカルト宗教になっている事でより事態が深刻になった気がする…

あらすじの説明も

 

初演

信じるとは何なのか?これは一夜にして崩壊する家族の物語。 
人間のレゾンデートル(=存在理由)を思索する哲学という学問が廃れてしまった。けれども、人間は何かしら生きる意味を見出さないと、生き難い。その空白を埋めるために、自らの趣味嗜好に過剰な価値を置く。「はまる」という現象。何かにはまってないと生きてる気がしない。 

換言すれば、偏愛。しかも、その歪みにも気付かない。疑うことすらない。これはすでに信仰に近い、ただの趣味嗜好なのに。アミューズメントパークを偏愛する父、アイドル系を偏愛する母、ファーストフードを偏愛する娘。そんな3つの偏愛が混在する、鎖でつなぎ合わないと成立しないほど、バラバラな家庭の物語である。 

 

Engrish ver.

これは、父、母、娘の三人家族の物語。その夜、三人はそれぞれ絶対に外出しなくてはならない理由があった。しかし、飼い犬が出産間近とあって、誰かが家に残り、面倒を見なくてはならない。嘘、裏切り、あの手この手を使って、それぞれが他の二人をあざむき、なんとか家を抜け出そうとする。やがてそれぞれの「信じるもの」が明らかにされ、互いの中傷、非難、不寛容が、事態を思わぬ方向へと導いていく。
果たして彼ら三人に、救いはもたらされるのか?

 

この”救い”の部分が日本人にはもっともわかりにくい感覚なのかな?と思っているけれどこれだけ見てもまさにこちらの文化圏ではないお話…舞台は日本であるけれど日本の文化で理解しようと思うと少し難しい。翻案にウィル・シャープさんというイギリス人の作家の方が関わっていたり、キャストがイギリス人である事で”日本人”を演じる上で理解できる事、できない事があってそのための改変なんだなと思った。

自分の中ですごくすっきりしたので自分用の解説でした。

友達はこのお話をホラーだと言ったけれど私は滑稽なお話だと思っていてでも皮肉っているわけでも決してないと思うけれどそれぞれが大事に、”信じて”いるものが他者からみるとひどくくだらないものに見えるは、きっとそうなんだろうなと思って”オタク”である姿を外から眺めるときっと可笑しくてしょうがないだろうなと思うという事、笑えないんだけど笑っちゃう。自分の身に振り返ってぞっとする。そんなお話だと思っている。オタクじゃない人が見るとどう思うのかな。初演の方がよりオタク感が強かった気がしたのはやっぱり日本人キャスト・日本向けに作られていたからかなと思う。

こうやって見た作品について延々と考えて答えを求め続けるのが好きで1回見ただけではこうだ、っていう答えが簡単に出ない作品が好きなんだけど今回は友人が見てくれたのとそこから色々話が派生して気づきを与えてくれる人がいたので本当に人の頭を借りると自分で気づけないところに行きつけるので良かった。

チケットは売り切れているけれど毎日当日券が出るので11月19日まで東京芸術劇場シアターイーストでやっているので気になった方は宜しくお願いします。

「表に出ろいっ!」English version”One Green Bottle” 東京芸術劇場

野田秀樹?誰?って思う方も多い(若い人には取っつきにくいと思われがちなのでは)思うけど一度見て見るのも良いと思いますので…作演出出演者で、東京芸術劇場の芸術監督です。この人の作品を6000円で見られるのは本当に安いと思うので……(せめてもの宣伝)

パンフは売ってなくて当日パンフが豪華なので宣伝しておく

表紙

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断面

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広げるとこんな感じA2……???

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折りたたんであるので手のひらサイズなのに広げるとでかい