I was stage gazer

星を追う

2018月組エリザベート

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東京公演のチケットが本当にない。

エリザベートを見るのがこれで3度目、人気のある作品だというのは分かるけれど自分にはその良さが分からないと思っていて、今までなんとなーく見ていたエリザベートが自分の中ですごく見ていて楽しい作品になっている不思議。もちろん贔屓目が大きい事もわかる。

今回は特に宝塚で”エリザベート”という作品のタイトルロールをやる意味、というかエリザベート役の愛希れいかさんのエリザベートをやりたかった!という気持ちがすごく感じられて本当にエリザベートを演じるのが楽しいんだろうなと思う。

エリザベートという作品は見る側も演じる側もそれぞれの”エリザベート”があってとても難しい作品だろうなというのも感じるし多分何をやってもこれじゃない感が強いというか、初日を見て色々思うところはあったけど2度目を見たらそんな事は忘れました。

今が最高のエリザベートだょ………多分みんなそれぞれに自分の好きなエリザベートを抱えていてれでいいのかなと思いながら見ている。

今まで見たエリザベートでいちばん印象に残らなかったフランツがどうしてくれようと思うほどに気になる。だってあんなにエリザベート、シシィを愛しているなんて聞いてなかった。シシィを見つめるその視線から、シシィに触れるその手つきからあまりにもシシィへの愛が強すぎて繊細で神経質で皇帝の重圧に苦悩しながら1人の女性を愛して、でも彼女の気持ちを汲み取って行動してあげられずに2人の気持ちはすれ違うばかりというこれだけを物語の主軸に置きたいくらい…多分衝突を避けようとする事を選ぶから、正面から向き合えずすれ違うばかりなのかと。立場とか考え方の根本的な違いもあるし、ゾフィーからの教育は辛抱、忍耐という事が強いと思うので。もちろん皇帝としての立場において必要な事でも一人の人間としてはそこは我慢辛抱をしない方がよかったとか。

まだシシィにとってのトートとは、とかに気持ちが及ばないけれど、今回のエリザベートに限って言えば、トートはシシィにとってのもう1人の自分、なのだと思っている。シシィが”生”とトートが”死”ふたつでひとつだし、常に背中合わせの存在というか。誰かが待っている気がするというシシィのセリフにも納得がいくというかそこにいるのはもう1人の自分、のような気がする。トートの腕に抱かれる時のシシィのジャストフィット感がすごくてこの2人は最初から1人の人間だったのではないかと思わされる。ここら辺の解釈はきっと色々考えてくれる人がいる。

2人のルドルフについても触れて置きたいけれど、ありルド(暁千星さんのルドルフ)はシシィへの憧れが強くシシィ似、おだルド(風間柚乃さんのルドルフ)はシシィへの憧れがフランツに似ているところからきているような感じがする。ママのようになれると信じて疑わないルドルフ、ママのようになれない事はわかっているからこそに憧れが強い。

シシィに似ているありルドはシシィがハンガリーを救った事、に対する政治的な国を救った事に対する憧れ。ママのようになりたい!もママのような強い人間に、ありルドは政治に対する意識も熱い。”僕がなんとかしなくちゃ”ていう熱さがあるので王座への野望も強い。

対するおだルドはフランツに似てシシィへの憧れが強い。あんな風に生きてみたいみたい、なれないものに対する憧れ。とても怯えの強いルドルフだなと思う。王座を求めるのはそれしか手段がないから、でもとても不安を感じる。シシィへの態度も”母親”を求めるような子供っぽい部分が強いのかな、と思う。ありルドは”同志”を求めるような肯定されたい気持ちを強く感じる。

この2人のルドルフの違いが面白くて交互に見たい。ありルドにたいするこのエル(蓮つかさくんのエルマー)も、おだルドに対するありエル(暁千星さんのエルマー)も全然違って面白いだけどここらへんについてはまだもっと見て考えたい…。エルマーだと青年から中年までの時系列の変化が楽しい。

あと特筆すべきは黒天使。かわいい。黒天使は正義。月組が誇る下級生長身男役はほとんど黒天使にいる。(他にも大きい子はいます)全員を並べた時の圧がつよい。身長順に綺麗なラインになるように並んでいるのが可愛い。

トートの化身として出てくる黒天使たちはビジュアルもトートに寄せていてブロンドに紫と緑を何色か混ぜた髪色、髪型は1人1人アレンジを加えていてもうそこがかわいい。メイクも1人1人ずつ違っていてかわいい。黒天使かわいい。おすすめは1人だけ外ハネでアシメな髪形のらんなおきくんです(お気に入り黒天使)足がめちゃくちゃ上がるので足を上げる振りのとこがすごい。あとあましじゅりちゃんという唯一の娘役黒天使と双子ちゃんみたいで可愛い。あと顔の良い子とかバッキバッキなダンサーな子とか黒天使とっても可愛い。お気に入りの黒天使を見つけよう!!!!!可愛い!!!!

ここで黒天使見分け方ポイント!

小柄でキビキビした動き髪の毛のくるくるが強い、眉毛が短い→ゆめなるねくん

小柄で顔の周りは割とストレートヘア前髪あり→あましじゅりちゃん(マデレーネ)

小柄でよくあましじゅりちゃんとセットでいるなおかつ片方だけ外はね→らんなおきくん

小柄でめちゃくちゃダンサーマイヤーリンクで開脚を披露してくれる眉毛とアイシャドウが平行気味になっているので顔がこわい髪の毛は編み込みが入ってる→きおかなでくん(昼食会での鳥)

なんか顔がいい!→あやおとせなくんもしくはそうませれんくんの気がしますが前髪に黒いメッシュが多めなのがそうませれんくん、昼食会の鳥があやおとくんです(適当)

大きくてなんだかちょっと強面…?で表情豊か→ あさぎりまことさん

大きいしよく見るとお顔が可愛いのにめちゃくちゃ無表情、髪の毛くくってる→れいかはるくん

英かおとくんと一星慧さんについての見分け方は詳しい見分け方がまだよくわかないので…前髪なしが一星さんのような…??よくセンターにいるのはきおかなでくんもしくはゆめなるねくんの可能性が高いです、2人の違いはわかりやすいかもしれないし、あましじゅりちゃんとらんなおきくんはシンメというか双子のようで可愛い(個人の印象です)ルドルフの王冠を奪ってパスリレーする順番とかわかったら教えてください。

この作品でルキーニに触れずにはいられないって言うくらいには狂言回しのようなストーリーテラーのような役だけどつきしろさんのルキーニは至って冷静、ともすればしずかなルキーニであんまり何もかもに興味がなさそうに見えて、唯一感情を露わにするミルクの在庫がないんだ!!!!のシーンがとても怖いあそこで怒るルキーニはテロリストって感じですね(適当)毎回キッチュでのアドリブが素っ気なかったり逆にメタネタ入れてきたりルキーニのアドリブも本当毎回見る楽しみだなと…。

 いちばん個人的に感情が動くシーンがミルク、と病院訪問でのヴィンディッシュ。

何回見てもミルクの熱量には圧倒されるし凄く格好いい!!!銀橋に来てこちら側に訴えかけるエネルギーがものすごくて近い席で見ると気圧されるんだという気がする、もちろん2階席で見ても凄く格好いい。

病院訪問でのシーンはヴィンディッシュがシシィの涙をぬぐってあげるところ、がなんとも言えないというかあそこの一瞬シシィの抱える孤独を理解して共鳴したのがヴィンディッシュだけだという部分が残酷だなとも思うし、シシィは自分が病院にいる側の人間でもおかしくないと思って病院訪問をしていたんだろうしまさにその通りなのかなと思っている、あなたもわたしも何も変わらないという事なのかなと。

うみのみつきさんの演技はもともと好きだけれど、今回特にいいなと思ったのでもちろんヴィンディッシュと世界の美女でのスペイン、前半のスカートを蹴り上げる闘牛士のような振りからスカートを引きずらないように持ち続けて大使にエスコートされるときはさっと持ち替えて、という細かい動きをパッパッとしているのがすごい(宝塚の娘役さんなら結構当たり前の事かもしれないけど)この一連の所作が美しい。

運良くというか辛抱強く並び続けた結果新人公演も見られて黒天使のゆいかれんちゃんが凄く格好良くてお顔がほわっとして可愛いなと思って見ていたけれど彼女はダンサーなんですねっていう本領発揮っぷりが凄く格好良かった…むしろ新人公演を経て見る本公演での可愛らしいお顔であのイケメン(格好いいという意味で)なんでしょ???と思うとトキメキが止まりません。

中の人のお名前がわかると色々楽しいなと思う反面何を見ても見逃している気がして入ったいつになったらあそこ見られなかった!がなくなるのか…という問題が。

カフェのシーンとかマグカップ売りのルキーニに対してとかみんなそれぞれでお芝居が細くて本当に好き。あとバートイシュルも楽しいしむしろ楽しくないシーンがないのではないか。ルキーニが一人でソロを歌うシーンでこの大劇場の視線を独り占めにしている瞬間があると思うと本当にすごいなぁと思う。あと舞踏会でのシーンのひそひそ話とかも本当にあのジロジロと見る視線とか。月組のモブ芝居が大好きすぎる。

ここが楽しい!という話をするとキリがないので大劇場での公演は折り返してしまって残り公演数がカウントダウンされていくばかりなので最後まで思いっきり楽しみたいな〜と…。本当に見られて良かったと思うエリザベートでわたしは楽しいです。

東京のチケット……あるところにはあるさ〜〜〜だと思うので…あるところにはある(もちろん)