I was stage gazer

星を追う

イキウメ・散歩する侵略者

イキウメを初めて見た『太陽』から気がつけばイキウメの作品を見るのも3本目、前川さんの脚本というなら『プレイヤー』も合わせて4本目、こんなにコンスタントに東京の劇団の作品を見られる事がなかなかないのでイキウメにはいつも頭が下がる思い。あと常に次回公演のお知らせをしてくれるので嬉しい。次回公演も行きます。

散歩する侵略者、再演という事と映画の公開が近日あったけど私は今回見るのが初めてでイキウメの作品はイキウメで見るのが1番好きだと思ってしまうのでその他同脚本のものは一切見ない様になったけど過激派ではないです。

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とりあえずの感想としては

舞台が斜めでフラットちょっと見づらいところもある、おーくぼひとえさんの10代感がいつみてもやばい、桜井と天野、宇宙人役の3人の表情の作り方がそれぞれなんだけどでもやっぱり何か”違和感”を感じるのがすごい、泣いた、SFなのにすでに自分の身の回りでもある事なのでは?と感じさせられるそこはかとない恐怖がやっぱり面白い

人間という存在を突き放して冷静に見ているのかな?と思うけれどやっぱり面白いと愛おしいと思っているんじゃないかという気持ちにさせられる。あと前川さんの人体とか人間についての興味がすごいんだろうなと勝手に思ってる。

散歩する侵略者、のタイトルの意味が作品を見に行く中ですごく腑に落ちる。自らの事を”宇宙人”と認める侵略者は人間の精神と記憶を乗っ取ってその人自体になる、記憶は持っているけれど人格が違う、あと宇宙人だから言葉の意味は分かって”概念”が理解できないから出会う人々から概念を奪っていく奪われた人はその概念を失ってしまう。

”概念”っていう言葉がぴんと来なくて概念を奪われた人たちを見て実際奪われるとどうなるかっていうのを見せられるんだけど普段の生活ってすごく脆いものなんだなと思った。目に見えないもので構成されているというかそれが今までの経験から学んだ事ととかそういう事なんだろうと思うけど侵略者はまるで赤ちゃんで人から概念を奪う事で成長していく、最初は”痛み”の概念すらわからなくて裸足で歩き回っていた侵略者のしんちゃん(加瀬真治)が後半になると随分人間の擬態が上手くなって表情も豊かになっていくのが面白かった。社会生活を営むために人は人生の中で色々な経験をしているから当たり前の事が当たり前にできるんだなとかそういう事なのかはよく分からないけど

”概念”を奪われる事と同時に社会派な切り口だなと勝手に思ってしまうのが隣国のミサイルの話、気づかないところから戦争は始まっている。再演での脚本の改訂部分ではなく初演から書かれていた事らしくええってなった…事実が創作に寄ってくる事ってままあるけれどやっぱり怖い。

イキウメの作品は上手く言葉にするのは難しいけど面白いから見て、って言えるのでぜひ見て欲しい 。イキウメの劇団員の方達はみんな不思議な雰囲気を持っているけれどその中で普通の人(?)感がより際立つ安井さんが好きです。巻き込まれジャーナリスト(天の敵に続き)

立花あきらの天野さんが太陽で結役だった清水葉月さんに見えてしまってああいう雰囲気の役者さん本当にイキウメに合う…と思ってしまった天の敵の小野ゆり子さんとか…

派手な演出がなく本当に脚本と役者さんの演技をじっくり楽しむのがイキウメの楽しみ方なのかと思っているし脚本自体がよくていろんなところで使われていたりするけどやっぱり私はイキウメで見るのが1番好きだなと思う。淡々としていてそれでもちょっと愛を感じる。

騒いでいたら(いつも)散歩する侵略者は見に行ってくれてる方が多くて嬉しいイキウメはいいぞ!