I was stage gazer

星を追う

2018月組エリザベート

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東京公演のチケットが本当にない。

エリザベートを見るのがこれで3度目、人気のある作品だというのは分かるけれど自分にはその良さが分からないと思っていて、今までなんとなーく見ていたエリザベートが自分の中ですごく見ていて楽しい作品になっている不思議。もちろん贔屓目が大きい事もわかる。

今回は特に宝塚で”エリザベート”という作品のタイトルロールをやる意味、というかエリザベート役の愛希れいかさんのエリザベートをやりたかった!という気持ちがすごく感じられて本当にエリザベートを演じるのが楽しいんだろうなと思う。

エリザベートという作品は見る側も演じる側もそれぞれの”エリザベート”があってとても難しい作品だろうなというのも感じるし多分何をやってもこれじゃない感が強いというか、初日を見て色々思うところはあったけど2度目を見たらそんな事は忘れました。

今が最高のエリザベートだょ………多分みんなそれぞれに自分の好きなエリザベートを抱えていてれでいいのかなと思いながら見ている。

今まで見たエリザベートでいちばん印象に残らなかったフランツがどうしてくれようと思うほどに気になる。だってあんなにエリザベート、シシィを愛しているなんて聞いてなかった。シシィを見つめるその視線から、シシィに触れるその手つきからあまりにもシシィへの愛が強すぎて繊細で神経質で皇帝の重圧に苦悩しながら1人の女性を愛して、でも彼女の気持ちを汲み取って行動してあげられずに2人の気持ちはすれ違うばかりというこれだけを物語の主軸に置きたいくらい…多分衝突を避けようとする事を選ぶから、正面から向き合えずすれ違うばかりなのかと。立場とか考え方の根本的な違いもあるし、ゾフィーからの教育は辛抱、忍耐という事が強いと思うので。もちろん皇帝としての立場において必要な事でも一人の人間としてはそこは我慢辛抱をしない方がよかったとか。

まだシシィにとってのトートとは、とかに気持ちが及ばないけれど、今回のエリザベートに限って言えば、トートはシシィにとってのもう1人の自分、なのだと思っている。シシィが”生”とトートが”死”ふたつでひとつだし、常に背中合わせの存在というか。誰かが待っている気がするというシシィのセリフにも納得がいくというかそこにいるのはもう1人の自分、のような気がする。トートの腕に抱かれる時のシシィのジャストフィット感がすごくてこの2人は最初から1人の人間だったのではないかと思わされる。ここら辺の解釈はきっと色々考えてくれる人がいる。

2人のルドルフについても触れて置きたいけれど、ありルド(暁千星さんのルドルフ)はシシィへの憧れが強くシシィ似、おだルド(風間柚乃さんのルドルフ)はシシィへの憧れがフランツに似ているところからきているような感じがする。ママのようになれると信じて疑わないルドルフ、ママのようになれない事はわかっているからこそに憧れが強い。

シシィに似ているありルドはシシィがハンガリーを救った事、に対する政治的な国を救った事に対する憧れ。ママのようになりたい!もママのような強い人間に、ありルドは政治に対する意識も熱い。”僕がなんとかしなくちゃ”ていう熱さがあるので王座への野望も強い。

対するおだルドはフランツに似てシシィへの憧れが強い。あんな風に生きてみたいみたい、なれないものに対する憧れ。とても怯えの強いルドルフだなと思う。王座を求めるのはそれしか手段がないから、でもとても不安を感じる。シシィへの態度も”母親”を求めるような子供っぽい部分が強いのかな、と思う。ありルドは”同志”を求めるような肯定されたい気持ちを強く感じる。

この2人のルドルフの違いが面白くて交互に見たい。ありルドにたいするこのエル(蓮つかさくんのエルマー)も、おだルドに対するありエル(暁千星さんのエルマー)も全然違って面白いだけどここらへんについてはまだもっと見て考えたい…。エルマーだと青年から中年までの時系列の変化が楽しい。

あと特筆すべきは黒天使。かわいい。黒天使は正義。月組が誇る下級生長身男役はほとんど黒天使にいる。(他にも大きい子はいます)全員を並べた時の圧がつよい。身長順に綺麗なラインになるように並んでいるのが可愛い。

トートの化身として出てくる黒天使たちはビジュアルもトートに寄せていてブロンドに紫と緑を何色か混ぜた髪色、髪型は1人1人アレンジを加えていてもうそこがかわいい。メイクも1人1人ずつ違っていてかわいい。黒天使かわいい。おすすめは1人だけ外ハネでアシメな髪形のらんなおきくんです(お気に入り黒天使)足がめちゃくちゃ上がるので足を上げる振りのとこがすごい。あとあましじゅりちゃんという唯一の娘役黒天使と双子ちゃんみたいで可愛い。あと顔の良い子とかバッキバッキなダンサーな子とか黒天使とっても可愛い。お気に入りの黒天使を見つけよう!!!!!可愛い!!!!

ここで黒天使見分け方ポイント!

小柄でキビキビした動き髪の毛のくるくるが強い、眉毛が短い→ゆめなるねくん

小柄で顔の周りは割とストレートヘア前髪あり→あましじゅりちゃん(マデレーネ)

小柄でよくあましじゅりちゃんとセットでいるなおかつ片方だけ外はね→らんなおきくん

小柄でめちゃくちゃダンサーマイヤーリンクで開脚を披露してくれる眉毛とアイシャドウが平行気味になっているので顔がこわい髪の毛は編み込みが入ってる→きおかなでくん(昼食会での鳥)

なんか顔がいい!→あやおとせなくんもしくはそうませれんくんの気がしますが前髪に黒いメッシュが多めなのがそうませれんくん、昼食会の鳥があやおとくんです(適当)

大きくてなんだかちょっと強面…?で表情豊か→ あさぎりまことさん

大きいしよく見るとお顔が可愛いのにめちゃくちゃ無表情、髪の毛くくってる→れいかはるくん

英かおとくんと一星慧さんについての見分け方は詳しい見分け方がまだよくわかないので…前髪なしが一星さんのような…??よくセンターにいるのはきおかなでくんもしくはゆめなるねくんの可能性が高いです、2人の違いはわかりやすいかもしれないし、あましじゅりちゃんとらんなおきくんはシンメというか双子のようで可愛い(個人の印象です)ルドルフの王冠を奪ってパスリレーする順番とかわかったら教えてください。

この作品でルキーニに触れずにはいられないって言うくらいには狂言回しのようなストーリーテラーのような役だけどつきしろさんのルキーニは至って冷静、ともすればしずかなルキーニであんまり何もかもに興味がなさそうに見えて、唯一感情を露わにするミルクの在庫がないんだ!!!!のシーンがとても怖いあそこで怒るルキーニはテロリストって感じですね(適当)毎回キッチュでのアドリブが素っ気なかったり逆にメタネタ入れてきたりルキーニのアドリブも本当毎回見る楽しみだなと…。

 いちばん個人的に感情が動くシーンがミルク、と病院訪問でのヴィンディッシュ。

何回見てもミルクの熱量には圧倒されるし凄く格好いい!!!銀橋に来てこちら側に訴えかけるエネルギーがものすごくて近い席で見ると気圧されるんだという気がする、もちろん2階席で見ても凄く格好いい。

病院訪問でのシーンはヴィンディッシュがシシィの涙をぬぐってあげるところ、がなんとも言えないというかあそこの一瞬シシィの抱える孤独を理解して共鳴したのがヴィンディッシュだけだという部分が残酷だなとも思うし、シシィは自分が病院にいる側の人間でもおかしくないと思って病院訪問をしていたんだろうしまさにその通りなのかなと思っている、あなたもわたしも何も変わらないという事なのかなと。

うみのみつきさんの演技はもともと好きだけれど、今回特にいいなと思ったのでもちろんヴィンディッシュと世界の美女でのスペイン、前半のスカートを蹴り上げる闘牛士のような振りからスカートを引きずらないように持ち続けて大使にエスコートされるときはさっと持ち替えて、という細かい動きをパッパッとしているのがすごい(宝塚の娘役さんなら結構当たり前の事かもしれないけど)この一連の所作が美しい。

運良くというか辛抱強く並び続けた結果新人公演も見られて黒天使のゆいかれんちゃんが凄く格好良くてお顔がほわっとして可愛いなと思って見ていたけれど彼女はダンサーなんですねっていう本領発揮っぷりが凄く格好良かった…むしろ新人公演を経て見る本公演での可愛らしいお顔であのイケメン(格好いいという意味で)なんでしょ???と思うとトキメキが止まりません。

中の人のお名前がわかると色々楽しいなと思う反面何を見ても見逃している気がして入ったいつになったらあそこ見られなかった!がなくなるのか…という問題が。

カフェのシーンとかマグカップ売りのルキーニに対してとかみんなそれぞれでお芝居が細くて本当に好き。あとバートイシュルも楽しいしむしろ楽しくないシーンがないのではないか。ルキーニが一人でソロを歌うシーンでこの大劇場の視線を独り占めにしている瞬間があると思うと本当にすごいなぁと思う。あと舞踏会でのシーンのひそひそ話とかも本当にあのジロジロと見る視線とか。月組のモブ芝居が大好きすぎる。

ここが楽しい!という話をするとキリがないので大劇場での公演は折り返してしまって残り公演数がカウントダウンされていくばかりなので最後まで思いっきり楽しみたいな〜と…。本当に見られて良かったと思うエリザベートでわたしは楽しいです。

東京のチケット……あるところにはあるさ〜〜〜だと思うので…あるところにはある(もちろん)

ミュージカルあなたの初恋探します

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2年ぶりのオリジナルキャストでの再演!作品自体は3年連続上演されています。

久しぶりにたからづか以外のお芝居を見てそういえばわたしヅカオタじゃなかったな?(基本的には)という事を思い出しました。

村井さんが出ているお芝居を見るのも久々で…そして通路から1席入ったところのお席だったので最前より近くで顔が綺麗……しました。相変わらずお顔が綺麗。

村井さんのオタクとしてはこの2年の間に村井さんがどんな作品に出演されてこられたか知ってる訳で色んな事を思い出し、お歌がより安定して聞ける…!音域が広くなってる!しっかり歌えてる!など思う訳ですが、お芝居としては初演から3人の相性がとても良くてその仲の良さがしっかりお芝居に反映されているところがとても良かったなと思っていたところが、さらに広がってもっと自由に楽しくなっているという気がした。

駒田さんのマルチマンがいくつか役が減っていてあの役がないーーーー!!というショックはあったけどその分お話がすっきりしたのかな??

初恋探しは客席参加型ミュージカル(?)なのでヒュー!ヒュー!とイエー!とか客席からのアクションを求められる事も多く、大変賑やかしい作品だけどお客さんがリアクションしやすいように客席にドヤ顔したりウインク決めてくるのが楽しかった。なかなか見られない村井さんのキメ顔………!!!!!

村井さんのミニョクは人を放っておけない優しさ、とか情けない部分だけを出してるんじゃなくて人間的な魅力がある人だなとより感じたし、ジョンウクは胡散臭さが上がっててかなり怪しさ満点な感じだった…こうちゃんと人のツボを付いてくる感じも胡散臭さ満点な感じで…あとより韓国人らしい振る舞いも増してたんじゃないかと???よくわからないけれど相変わらずの別人of別人っぷりがすごくてミニョクはごはんですよのキャラクターにやっぱり似ているし、顔芸がすごい。とても面白い顔をしている。

村井さんの舞台の上での表情がとても豊かな感じがとても好きなのでそれを堪能できるのがとても良かったしやっぱり好きだなってなった。

アンリタの彩吹さんは本当に素敵な女性で好き……!!ってなるしかないんだけどアンリタの夢見がちで怖がりなところとか強く振る舞いつつもミニョクに絆されてしまうところが好きなんだけどミニョクとの恋に落ちていく瞬間、ときめきを感じた時の表情が本当に良くてアンリタがときめいているのを見ているからミニョクの魅力がわかるというか、見ているこちら側もミニョクにときめいてしまうところがある。それにしてもお歌が上手い本当素敵な女性だしコメディエンヌって感じのコミカルなお芝居が本当に似合うし宝塚を見るようになって彩吹さんのタカラジェンヌたる部分にも萌えてしまう(足の上げ方が宝塚のそれ)のでとても楽しい。アドリブへの柔軟な対応も本当にうまいなー!!(本当に自然な流れなのでアドリブと気づかなかった)

マルチマンの駒田さん、本当にこの作品はマルチマンがいないと成立しないくらいの活躍っぷりなんだけど自由に見えて実は一番自由がない、というか作品のために一番しっかりしていないといけない役なんだなと再演で改めて思って本当に駒田さんの凄さを思い知る…本当にすごい人なのはわかっているんだけど愉快な役所なのでついつい笑ってしまうというか…お客さんを乗せていくのもマルチマンのお仕事なので本当に駒田さんがいてくれないとこの舞台は成り立たなくて、お歌を歌えばうま…っ!!!!ってびっくりするしおもしろいし、でもジェシカのインパクトは初演の方が強かったかなら??ジェシカ…!!!!!鳩ぽっぽ席に座って餌の韓国海苔を頂きたかった。

あと特筆したいのが、かなり舞台変換が多くて暗転も多い(出演者が少ない分つなぎが多くなる)作品だけどその間をきっちり埋めてくれるバンドの存在がとても大きくてバンドの皆さんも出演者だなと強く思う作品で本当に毎回毎回バンドの皆さんにも大きな拍手をできる事が嬉しい。もちろん表に出ていないスタッフさんたちのご助力も大きいと思うけれど見えている範囲ではバンドの皆さんがお芝居に参加している感じもこの作品の好きなところだなと感じている。

東京公演が終わってしまいあとは地方公演を回るだけなんだけどこのお芝居が東京大阪以外のお客さんにも見てもらえるのはすごく嬉しい!(ただし地方のキャパが大きすぎる)色んなところの皆さんに楽しんでもらえますように〜〜福岡とかだと韓国から近いし韓国のお客さんとか来たりしないのかな〜〜〜

初恋探しはまだまだ続きます〜〜〜

雨に唄えば〜Singin the rain

赤坂ACTシアター 月組公演  : 雨に唄えば

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ラストパーティーと雨に唄えばは同時代の話、と気付いてあまりの作品の落差とテンションの違いにびっくりしたし、ラスパ雨唄のはしごは割とテンション的についていけなかった。

明るくハッピー!と言われるけれどリナに関する云々の話は手放しで笑えない部分もあったりして、でも基本的にコメディだし笑ってればいいか、と思う部分とやっぱりみんなうまいなぁとしみじみしてしまった。月組のモブ芝居が大好き(絶対無駄に細かい設定作ってる)のと後ろにいる人たちを見ているのが楽しいって事がこんなにあるとは思わなかった。楽しい。

初日から2度目3度目と繰り返して見るとちょっとした言葉のニュアンスだったり間の取り方が格段に変化していてすごく楽しい。

初日にネタバレなしで見る楽しみもあるけど作品がいい感じにまとまってきたなと思える公演期間の中日あたりに見るのが良いのかもしれない。

やっぱり見所はタップダンス!ドンとコズモの幼馴染感というか息の合った動きを見るのが楽しいし、2人の動きのシンクロ率が進化してる、1幕終わりには本水を使った土砂降りのシーンもありエンターテイメント性が凄い。なんか夢かわいい雰囲気のシーンとあって夢かわいい(使い方あってるのか知らない)ドンがキャシーに告白する場面のゆめゆめしさ。

映画を作る話だからか映像を使う演出が多いのはちょっと残念と思いつつ映像でダレる訳でもないので、あとドンとリナの映画スターとしての見栄えを実感出来る楽しさがある。

キャラクターとして、ドンがコズモにだけは少し甘える様な態度を見せるのも可愛いし、ドンの傲慢なスター!という態度の中に少しだけかわいさというかどうしても好きになっちゃう感じが中の人の感じでずるい。とても素直に人の言うことを受け取る人だなって言う可愛らしさなのかもしれない、ちょっと見知らぬ女の子に言われたくらいで映画スターとしての自分を不安に思うのとか。

コズモは何でも出来るし、頭の回転がめちゃくちゃ早い…何でモテないちょっとコミカルなキャラなんですかね…??絶対モテるよ…??ドンの事を心配そうに見ている表情とか、人の懐にひょっと入っていく人懐っこい感じ(人の心をくすぐるのがうまそうとか)やっぱり中の人をちょこっと感じるコズモなのが好き。

リナのゴージャスな美人感と愛され慣れしているどころが本当に可愛い…ゼルダとの友達〜〜も可愛いし本当憎めないところが多くて可愛い…まあ性格は悪いしアホだけど可愛い…

長いものに巻かれちゃう雇われっぽい監督とか(リナちゃーんの言い回しが最高)リナにつく発生法の先生👩‍🏫(リナちゃん褒め上手)とかドンとコズモに振り回されるアドリブ担当の発生法の先生とか👨‍🏫1人1人のキャラクターがきちんと確立しててお芝居がしっかりしてて楽しいし、何より役名のないモブのお芝居もすごく細かくて映画を見ている観客役、とか撮影時のスタッフとか、この人数で何役も兼役しているんだけどとても人数多く見えるし1人1人見てると目が足りませんね、ってなる月組のお芝居もとても好き。みんなバラバラの事を好き放題しているように見えてちゃんとお芝居としてはまとまっているというか好き放題に見えるけれどそれは全部全体のお芝居を作るためにやってるんだなって感じるところがとても面白くて好きですね…

お話的に繰り返してリピートする作品ではないのかなと思いつつオタクなので自分なりの楽しみ方を見つけて何度見ても新しい発見があって楽しくて終わってほしくないなぁと思いつつ、マイ楽までしっかり楽しむ…下級生の子たちのお名前が分かってくるの楽しい…!!これがヅカオタの楽しみ方か!!!!

 

マイ楽をすでに迎えてしまったけど初日から見て来てマイ楽がいちばん楽しかった、こんなに楽しめるとは思わなかった!!!と思うくらい本当に楽しくて楽しかったありがとう月組公演雨に唄えば……

 

お前は娼婦 / 俺は娼婦

お前は娼婦、俺は娼婦の掛け合いがあまりにも衝撃的でむしろそこしか歌詞をはっきり覚えていない、月組公演『THE LAST PARTY ~S.Fitzgerald's last day~』

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kageki.hankyu.co.jp

ちょっと古めかしいとっつきにくい作品なのかなというイメージを持っていたら全くそんな事はなく、むしろ好きなタイプの作品で思わずチケットを増やしてしまった。

演出にやや思うところはあれど(そのセンスどうしたの??ってすこし気になるところ)ある役者がスコット・フィッツジェラルドの人生を演じる舞台での役作りの過程を見る、フィッツジェラルドどう演じようかと考える役者と演じられた作られたフィッツジェラルドがそこに存在する、というような舞台の上の真実と虚構が混じり合うような作品だった。主演のフィッツジェラルド/TUKISHIROは主役であり、ストーリーテラー的な役割で本当にセリフが多くて大変だろうなと思った。

フィッツジェラルドとスコットフィッツジェラルドを演じる役者(TUKISHIRO)がはじめはいったりきたりしているけれどそのうちにだんだんとどっちなのか分からなくなってしまうようなもちろんその2役をはっきり切り替えて演じる場面も素晴らしくてすごくお芝居らしいお芝居を見た、と思った。ちゃんとミュージカルらしいナンバーもあるしちゃんとミュージカルでもあるけれどすごくお芝居らしい、お芝居。

 フィッツジェラルドの作品についてもその人生についてもほとんど何も知らなかったけれどあまりに優しくて弱くてとても美しかった。すぐ感覚の話をしてしまうけれどすごく美しい話だなと思ってしまった。何より舞台の上に綺麗な人間しかしない宝塚だけれどそういう事じゃなくてこの人の人生がすごく愛おしくて美しかった。多分愛情を持ってフィッツジェラルドが描かれているせいただとおもうけれど。

わたしはこの作品について随分とフィッツジェラルド贔屓で見てしまっているけれど出てくる人物が全員人間らしくてとても好き。

創作者の苦しみ、はよくわからないけれど身を削って自らを晒しつづけながら生きるフィッツジェラルドが愛おしくて美しくてしょうがなかった。

あと本当にフィッツジェラルドが出ずっぱりなので演じる側は大変だろうなと心配したりしたけれどそうやってずっとフィッツジェラルドの姿を見ているから余計に感情移入しながら見てしまうという構造なのかもしれない。

お前は娼婦〜 / 俺は娼婦 はヘミングウェイフィッツジェラルドを批判するときに身体を売る代わりに才能を売っている、と芸術家として創作するべきだ、という批判の言葉だけれどあまりにもヘミングウェイフィッツジェラルドの才能を愛して、失望している事が分かるけれどもパワーワード過ぎてどうにもこうにも…フィッツジェラルドヘミングウェイの最初の仲が良さそうなシーンからあまりに冷たい視線でフィッツジェラルドを見るヘミングウェイという移り変わりも大変に楽しい。

(中の人、という視点でどうしても見てしまう部分もあって余計にううとなってしまう)

フィッツジェラルドを取り巻く3人の女とかマックスウェルとか人としても芸術家としても褒められる様な事が少ない人なのかもしれないけれどどうにも破滅的で美しく思えてしまって、とても美しい作品だなと思った。

あまりに美しい、以外の言葉が出てこないけれど表面的な美しさももちろん、その精神性が美しいみたいなあまりにも脆くて弱くて優しい人間らしい美しさのある作品だなと思った。

出演者の話をすると、主演で真ん中にいる月城さんを見て改めてこういうお芝居をする人なのか、と気づいた部分もあるしやっぱり単純に上手い人だなと思った。出ずっぱりでもぶれる事なくしっかりと真ん中にいて素晴らしい主演だった。

ゼルダ役の海乃さんは美しさ、とその激しさもさる事ながら月城さんとの相性が最高で2人の歌声とか演技が合わさる幸せをとても感じてしまった。本当に素晴らしい相手役だった。ゼルダが壊れていくときの演技を見ながら次のエリザでのヴィンディッシュ嬢もすごく楽しみになった。すごく大人っぽくて綺麗な方だなぁと思うけれどゼルダのゴージャスさもすごく似合っていてとてもよかった。

出番的には少ないんだけど強烈な印象を残していくヘミングウェイの暁さんにはどうにもひえぇってなってしまうんだけどヘミングウェイのラストにも泣いてしまった。誰よりもフィッツジェラルドの才能を信じて愛して同じ作家であるゆえのもどかしさとか苛立ちとか彼にしか持ち得ない感情なんだなと思うしその執着もまた作家であるがゆえなのかなと思ったりご本人のイメージがとても強いからか、こんな表情をするのだなぁとかこんな目をするのだなとかいちいち新鮮だったりもして、これからが楽しみだなという気もした。

組長さんが上級生娘役の立ち位置にいるのも月組ならではだなー!と思って楽しかったし、やっぱりフィッツジェラルドを取り巻く3人の女、をきっちり固めてきていたのが良かった…!!

全体的に若いと思うんだけどしっかりしたお芝居をするカンパニーだ、と思ったしわたしがとても月組らしいなと思うお芝居だったのでそこも多分とっても面白いと感じる理由のひとつ、なのでチケットも増やした事だし、またこのお芝居をじっくりと見られる事を楽しみにしている。

Take me out 2018

再演の報を聞いてどうしても見たいと思いつつなかなか都合が合わない&踏ん切りがつかないままチケット手配を怠っていたら当日券チャレンジしかない状況になり、体調との兼ね合いでやっぱり行かなくてもいいかなと思いつつ見たら見たでやっぱり見てよかったーーーー!!ってなる作品でした。

でもこの作品について語ることは難しくてというか自分の内面についての部分に触れざるを得ない作品だなと思うのであまり客観的になれずに目の前に鏡を突き付けてられているような気分だった。

初演からかなり変更が加わっていて分かりやすくなった部分と、初見でついていけるかな?って不安になった部分があって再演のほうがとても救いがあるラストだったし、ダレンが自分の事を告白する部分は初演のほうが分かりやすかったな~と。ここでまずみんなついていってる??って不安になった。

でも全体的には再演のほうが分かりやすさがあるんじゃないかなと思ったような。

初演も再演も1回きりなので記憶があいまいだしかなり主観的になるんだけど見た人と色々話をしていて思ったのはキッピーの”善性”とデイビーの”善性”の話だったり、シェーンの与えられなさとか、カワバタの野球しかないみたいな発言だったり、ダレンの告白によってみんな己の被っていた皮をはがされた様な状態になると思ってるんだけど、そのなかでいかに傷つけあわずにいられるか、みたいな。ひた隠しにしていたかった部分をむきだしに晒してそれでも強くあるダレンが恐ろしくてとても怖い。

ダレンの正しさみたいな部分がみんな怖いんじゃないかと思っているというかわたしはみんなシェーンみたいな態度になってもおかしくないと思っていて、自分が”差別”をしない人間だという振る舞いをすることがとても怖い。

キッピーは自分の善性を信じていてそれを周りにも求める、”善く”あろうとする人間で、デイビーは神から与えられた善性を信じていて神から与えられた善性から外れる事を善としない、シェーンはそもそも”善”とすることが分からない、それでも自分の振る舞いが世間一般から正しいとされる事ではないと気づいている、ダレンは自分が神であるし、信じているのは自分だけ、メイソンはダレンによって”善”を肯定されたと思っている。という個人的な視点から見ていてわたしはシェーンの立場のような人間なのでダレンがとても怖い。

ぼくたちは”楽園”を失った、の”楽園”は決して楽園ではないというか楽園というイメージの場所だと思っているし”Take me out"、わたしを連れ出してくれるにもぼんやりと考えると思うところはあって明確に解釈してこうだと思う、みたいな答えがある作品ではないのかなと思うしこの作品を見てぼんやり自分を顧みてあれこれ話したり考えたりする事がこの作品を見た上で大切な事なのかなと思ったり。

表面的に分かりやすい違いだけじゃなくて、人はそれぞれ理解しあえなさを抱えて生きているんだなというか多様性を多様性のまま排除するでもなく”理解”しようとするでもなくその先にあるものって何なのかまだよくわからないし、ダレンもデイビーもキッピーもシェーンもカワバタもメイソンも己を殺さず生きられる”楽園”はどこにもないと思っているけれどそれでも再演においてこのお話にはとても救いがあるなぁと思った。

翻訳モノの抱える難しさはありつつもこの作品は本当にお芝居としても凄く好きであのセリフ量でたま挫折しそうになりつつもちゃんと拾い上げてくれる良作だなーと思っていて、本当に大好きな作品なので映像に残してくれるのが嬉しいけど映像に残るということは映像に残った分の公演がこの作品の唯一のものになってしまうのがちょっと寂しい。お芝居は生もので毎日見るごとにちがって映像に残らないからこそそれぞれの見たものを唯一として語れる良さがあると思っていて、映像に残るとその日のお芝居が唯一として残るのがすこし複雑な気分で、という余談。

雪組・誠の群像 / SUPER VOYAGER!

誠の群像

土方歳三は鬼だった。

お話的に後半がちょっと駆け足だったかなーと。”鬼の土方”と最後まで各々の”誠”を貫いた者たちの話って感じだった。

望海さんは硬派なのにちょっとちょろい役がとても似合うし、希帆さんは中身がイケメンだから、女性だけど心が武士みたいな役でとってもお二人に似合う役だなーと思ったのは勿論、彩風さんの山南とか彩凪さんの勝海舟とかとても良かったし、煌羽さんは何役やってるの??って活躍っぷりだったしまなはるさんはバウ組なのにまなはるさんの幻を私も友人も見た(多分下級生に似てる子がいる)

あとすごく良かったのがあやなくんの沖田………!!!!!あんたすげえ良かった(CV 阿久津さん ©カンパニー)幕臣とか新撰組とかいうよりも土方さんを信じてついていってるようなイメージの沖田とっても良かった……!!人を殺したくないけど自分は人殺しだってちゃんと自覚があるような死の覚悟も抱えて少年なのにちょっとやっぱりどこか達観したところがあるようなそんな総司とっても良かった。土方さんとのやりとりも可愛かった……沖田が心のオアシスすぎて最高だった。

ところどころ笑ってはいけない誠の群像してしまうくらいにはいしだせんせーの演出にちょっとついていけなかったところが残念で、雪組は彩風さんと彩凪さんの役が絡む演技がとても好きだなーと思った。ひかりふる路でのダントン・ロラン夫人もとっても良かったけれど山南・勝海舟、榎本・勝海舟のシーンが本当良かった……!お二人の性質が全然違うから見てて楽しいんだろうな…楽しい

あと榎本さんの時の彩風さんがハイパー可愛い。ヒゲ可愛い。可愛い。

娘役さんたちのシーンがちょっと少ないなと思ったのと(新撰組からしょうがない)どうにも演出が噛み合わない(好みの問題)があるので……最近こういうところで演者の皆さんに申し訳ないという気持ちになってしまう。

 

SUPER VOYAGER!

全国ツアー版SUPER VOYAGER!

相変わらず野口せんせーの書く歌詞とそれを歌わされるジェンヌさんすごい!全ツ版で役割とか出番が変わった方達の新鮮さと大劇場から引き続き同じシーンに出演される方達の小慣れ感がいい感じにあいまって楽しかった!まちくんがワンオペのウェイターの仕事を辞めていたけど相変わらずあそこのクラブはブラックでした。眞ノ宮くんのマリアンヌはすごい攻めた髪型(アシメ)なのがすごく気になる…何があってそんな攻めた髪型になったの…。お芝居でもそうだったけど煌羽さんが大活躍でした。追加シーンの煌羽さんソロのお歌がめちゃくちゃ格好良くて格好いい…!格好いい…!あの曲また聞きたい…!希帆さんの追加シーンも格好良くてあと舞台装置がそんなに使えない分、せりあがりの登場シーンだったとこでとことこ歩いて出てくるのがめちゃくちゃ可愛かった。望海さんの衣装がグレードアップしてるとこがあってなんでそこグレードアップしたんだろう?って不思議で面白かった。とんちきだけどしっかりタカラヅカでやっぱりSUPER VOYAGER!は楽しい。ダイヤモンドショーの振り付けが変わってたり客席降りが多くなってたり、望海さんの掛け声が相変わらず面白くてしっかりネタ仕込んでくるところに望海さんの真面目さを感じてまた面白かった。

 

 

宙組・天は赤い河のほとり/ シトラスの風

天は赤い河のほとり

原作未読(多分昔ちょこっと読んだ事がある)くらいであまりにも忙しい人のための天は赤い河のほとりだけど、格好良いとことここやりたいってところはやるぜー!みたいな感じの格好良いシーンと重要なそうなシーンいれてみたよ☆ラブシーンは見せ所だからもちろんやるよ☆って感じの天は赤い河のほとりでした。

真風さんと星風さんのトップコンビお披露目っていう意味ではすごく良かったんじゃないかなと思う、すごく少女漫画が似合うトップコンビだったし真風のターン!まどかのターン!がくる感じ、あとまかまどのターンと芹香さんのターンとキキまどのターン。

タカラヅカで大劇場お披露目を見るのが4組目!でとってもお披露目公演らしい演目を見たなと思った。あとは星組のスカピンもお披露目っぽい演目。雪と月はお披露目にすごい演目持ってきたなーと改めて思ったけどどっちも好きです。

すごく格好良いなとおもったのは冒頭のアニメのOP感。さらっと全キャスト出てきてこんな人たちが出てきてどんなお話になるんだろうってわくわくしたし、芹香さんのラムセスが白、愛ちゃんさんの黒太子で対の振りがあっててマントをバサってするのがすごく格好良かった。

あとティトが可愛くて何回かティトーーーー!!!って心の中で叫びたくなったくらいにティトが可愛かったしいじらしかった。

本当ビジュアルが素晴らしくて漫画の世界の台詞をさらっと似合っちゃうのがすごく格好良かった。

今年に入って大劇場で見たタカラヅカポーの一族(漫画原作)→カンパニー(小説原作)→天は赤い河のほとり(漫画原作)なのでそろそろ原作付きじゃないやつが見たいかな…せっかくだから当て書きがいいなとちょっと思ったり多分その予定しばらくないな…

 

シトラスの風

ロ、ロマンチックレビュー。

久しぶりにタカラヅカらしいタカラヅカのショーを見た。全体的に真風のターン!って感じだった。あと芹香さんのターンも格好良かった。ただひたすらにタカラヅカのレビューだなあと思って見ていたから突然のハレルヤにびっくりしたしあそこのシーンだけなんかちょっとミサが始まったのかと思った。あと太陽を背にするまかぜさんすごかった。最初から苦手意識を持って見てしまっているのがとても申し訳なかったし、多分好きだなーと思うシーンもあるんだけどティト役だった愛海さんを探せゲームに勤しんでいました(そしてちゃんと見つけた)宙組の男役さんは足が長いな…みんなめっちゃスタイル良いな…っていうぼんやり思う事も楽しかったけどもっとちゃんと楽しめると良かった。